人に勝つロボットから、人と協力して助け合うロボットへ
ロボットが自律的に競い合う
ロボットの競技会といえば、「ロボコン」という複数人でロボットを操縦する競技が有名です。そしてもうひとつ、目的の異なる「ロボカップ」という競技会があります。ロボカップは、人間が直接操縦するのではなく、AIによって自律的に動くロボットの大会です。ロボカップには、ロボット同士のサッカーを代表としたさまざまな競技種目があります。大会を通じてロボット制御技術の推進を図り、将来的には人間のプロサッカーチームに対抗できるヒューマノイド型の自律移動型ロボットが開発されることをめざしています。
サッカー選手の動きや特徴を学習
ロボットに自律的な行動をとらせるには、ニューラルネットワークを用いてロボットに行動基準や状況判断を学習させます。例えば、上空から撮影したサッカーの試合映像から、人間のサッカー選手の動きをクラスタリング(データのグループ分け)し、コート内の移動パターンをもとにロボットの動きを近づけていきます。さらに、選手個々の身長や体重、肺活量などの身体的特徴データと、スポーツ工学で分析された試合時の精神的特徴を学習モデルに組み込みます。以前は身体的特徴や精神的特徴など、別ベクトルの特徴を同じ学習モデルに組み込むことは困難でしたが、「テンソル型の自己組織化マップ(SOM)」の利用により、二次元以上の三次元や四次元のベクトルも組み込んで、総合的に扱えるようになりました。
人と協力し合える仲間として
近年、配膳ロボットや家庭用ロボット掃除機など、わたしたちの生活にさまざまなロボットが取り入れられてきました。ロボットと人間のちょうど良い距離感を探るために、実際にロボットと人間と動物が参加できる駅伝大会が開催され、そこでのインタラクションが調査されています。求められているのは、人と快適に共生できるロボットの開発です。将来的には、人とロボットがチームメイトになり、目標に向かって協力し、違和感なく助け合える存在になることが目標とされています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
西日本工業大学 工学部 総合システム工学科 機械工学系 助教 富永 萌子 先生
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