そこにいる人々の視点で心地よい空間・環境をつくる、まちづくり

そこにいる人々の視点で心地よい空間・環境をつくる、まちづくり

民間主体のまちづくり、エリアマネジメント

現在、民間主体でまちづくりをするエリアマネジメントが各地で活発になっています。これまで行政が担ってきた道路や広場などの公共空間の維持管理や、来街者サービスなどのまちの運営の一部を、地域の企業や住民による団体が担うようになってきています。あなたの周りでも、広場や歩道の広い道路でオープンカフェやマルシェなどが行われていませんか? それはエリアマネジメントの取り組みかもしれません。これからのまちづくりには、地域の人たちの主体的な取り組みが欠かせません。そして、地域の人たちと伴走して技術的な支援を行う都市計画や建築の専門家の存在も必要とされています。

人の動きに合わせた空間デザイン

建築や都市計画では、ただ見た目のいい設計を考えているわけではありません。まちに住む人や訪れる人々の行動から空間を考えることが大切です。人の動きと空間デザインは密接に関係しているからです。例えば、歩道やオープンスペースの場合、歩行者の視点で考えると、どのくらい歩道幅が必要か、休憩のためのベンチはどこに配置したら使いやすいかなどが見えてきます。場所によっては、建物の壁面の位置をずらして歩行空間を拡大するデザインルールをつくることもあります。心地よい空間・環境をつくるには、人の行動を分析することから始まります。

データ活用がこれからの都市デザインを変える

ビッグデータの活用が様々な分野で進んでいます。都市計画やまちづくりの分野でも、これまで多くの人員で調査していた歩行者交通量調査を、スマホの位置情報データなどの新技術に置き換える試みも出てきています。個人情報の取り扱いに注意しなければなりませんが、データの精度が高まれば、ある街に来る人の年齢層、性別、居住地、訪れる時間帯など、再現性の高いデータの取得が可能となるでしょう。さらに経済活動や健康面、心地よさといった心理面のデータも取得できるようになると、細かなニーズに応えた都市デザインが可能になることが期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

西日本工業大学 デザイン学部 建築学科 准教授 長 聡子 先生

西日本工業大学 デザイン学部 建築学科 准教授 長 聡子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

建築学、都市計画学、まちづくり

先生が目指すSDGs

メッセージ

建築と聞くと、一つの敷地の中での設計や建物を建てることをイメージするかもしれません。しかし、建物は単体で成り立っているわけではありません。隣近所の建物や周辺環境があり、地域の中の一つの構成要素として存在しています。また、そこには必ず人がいます。住宅でどんな風に生活しているか、街にはどんな人たちがいてどう行動しているかという視点が、良い建築や都市計画につながります。自分が住む街や通学途中の街の様子を観察して、建物のデザインや使われ方、人々の行動を考察してみると、設計を考えるときに大いに役立ちます。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

西日本工業大学に関心を持ったあなたは

1967年、「人を育て技術を拓く」をモットーに、苅田町に工学部を開設。機械工学・電気情報工学・土木工学分野の高度な専門技術を学びます。2016年には次世代のロボットや自動車の開発者を育てる知能制御コースを新設しました。また、北九州市の中心市街地にある小倉キャンパス[デザイン学部]には、建築学科と情報デザイン学科を設置。「工学」と「デザイン」を融合させた教育、研究を推進し、「知と地の創造拠点」を目指し、地域・行政・企業との連携で地域の課題解決に取り組み、社会のニーズに合ったエンジニアを育みます。