ますます性能アップする、これからのケータイ

ますます性能アップする、これからのケータイ

ケータイのアンテナは、どこに行ったの?

ひと昔前のケータイには、ツノのような伸縮式のアンテナがついていたのを知っていますか? いま、あなたが持っているケータイには、ツノのようなアンテナはないと思いますが、実は内部に平面的な形をした小さなアンテナが2つくらい入っています。その複数のアンテナのうち受信感度がよい方を選び、切り換えながら受信しているのです。

受信感度がさらに上がる「適応アレーアンテナ」

しかし、ケータイを使っていると、まだ声が途切れたり聞こえにくいと感じたりすることがあると思います。これはケータイに多くの電波が飛んでくるからです。ほかの電波とぶつかって自分の電波が妨害されたり、ビルの壁に反射して同じ電波を二重に受けてしまい弱まったりすることもあります。また、歩きながら電話をかけると、電波がやって来る方向がクルクル変わってしまうという問題も発生します。そこで将来のケータイには、より多くのアンテナが搭載されようとしています。一定方向からやって来る必要な電波だけを瞬時に選んで受信し、不要な信号を弱めて聞こえないようにする「適応アレーアンテナ」です。ただ、年々小型化が進むケータイの中に、たくさんのアンテナを搭載するのは至難の技とも言えますが、いろいろと検討はされています。

もっと広がる電波の活用法

ケータイの世界では、このような適応アレーアンテナのほか、画像やメールなどが、もっと快適に動くようにする研究が進んでいます。
そのほかでは、災害時に役立つ電波の活用法として、ガレキの中に埋もれた人が所持するケータイを感知したり、電波で情報を飛ばすだけでなく、電波で電力を飛ばして家電製品、ケータイ、ノートパソコンなどを動かしたりする技術の研究も進んでいます。さらには、宇宙ステーションの太陽電池パネルで発電した電力を地球まで電波で送るという壮大なプランも研究されています。このような技術が実用化すれば、さらに便利な世の中になるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

名古屋工業大学 工学部 電気・機械工学科 電気・電子分野 教授 菊間 信良 先生

名古屋工業大学 工学部 電気・機械工学科 電気・電子分野 教授 菊間 信良 先生

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通信系/電波応用系

メッセージ

電気、電波は目に見えないので、普段は存在を意識しませんが、それらを使っているパソコン、ケータイ、テレビなどは日常生活に浸透しており、なくなると非常に困ります。電気、電波はいわば空気のような存在です。特に電波を利用するケータイの技術革新のスピードは速く、行きつくところまで来た感があります。もう革新的な技術の進歩はないかとも思いますが、若い人たちの新しい発想で、もっと用途が広がるかもしれません。電波を使って、暮らしを豊かにする新しい技術を一緒に考えましょう。

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名古屋工業大学は、世界のものづくりの中心地である中京地区の工学リーダーとして、技術イノベーションと産業振興を牽引するにふさわしい高度で充実した教育研究体制を整備しています。さらに国内の工科系大学のみならず、世界の工科系大学と連携することにより、工科大学の世界拠点として、異分野との融合による新たな科学技術を創成し、有為の人材を数多く世に送り出そうとする構想をもっています。