子どもはなぜ交通事故に遭いやすいのか

子どもはなぜ交通事故に遭いやすいのか

子どもが道路へ飛び出してしまう理由

子ども(小学生)が道路へ飛び出して事故に遭う可能性が大人よりも高いのには理由があります。
例えば、目(視力)がまだ十分に発達していないことも大きな要因です。
高校生の視野は左右に160度くらい見えるのですが、6歳の子どもは90度ほどしか見えません。遠くから迫ってくる車両が視野に入っていないため、大丈夫だと思い道路へ飛び出してしまうのです。また、感情のコントロールが十分にできないのも影響しています。道路の向こう側に友達や家族を見つけたら、うれしさのあまり安全確認をせずに走って横断してしまうのです。
これらの特性は、発達段階によるもので小学校の中学年、高学年、中学生、高校生と発達とともに交通環境に適応していきます。

子どもは車の動きが予測できない

道路横断するとき、大人は走ってくる車の速度を見て判断できますが、10歳以下の子どもの多くは速度と距離の関係を理解できません。車の速度に関係なく同じタイミングで横断するためため結果として道路に飛び出してしまうのです。
子どもが交通状況を認知してそこから適切に判断する力は、発達の度合いに大きく左右されます。子どもを交通事故から守るためには、発達に応じた交通教育が求められるのです。

交通心理学の活躍の場

心理学といえば悩みの相談やカウンセリングを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、心理学は様々な場で活用されています。例えば未就学児の交通安全教育では心理学の「ピグマリオン効果」を応用しています。子どもが自ら安全確認係をして状況を判断し、うまく横断できた際にはみんなの前で褒めるのです。子どもは人前で褒められることにより、今後は率先して安全確認したくなります。このようにやらされている安全確認ではなく、期待されたら期待に応えたくなる心の動きを活用することにより主体的に安全確認するのです。人間が交通場面でどのように状況判断、行動するのかを明らかにして交通事故の防止や教育に役立てる学問が「交通心理学」なのです。

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先生情報 / 大学情報

大阪国際大学 人間科学部 人間健康科学科 教授 山口 直範 先生

大阪国際大学 人間科学部 人間健康科学科 教授 山口 直範 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

交通心理学、発達心理学、応用心理学

メッセージ

私が所属する人間健康科学科は、主に食と体と心の健康をバランスよく学ぶ学科です。人間は心と体と食のバランスが重要なことはいうまでもありません。3つの健康について科学的な知見をもとに考え、学んでいく学科です。
また、高校生の段階で、将来の進路を明確に決められない人は少なくないと思います。今はまだ具体的に考えられない就職活動でも、将来、何らかの形で「人間」に関わりたいといった思いがあるなら、きっと有意義に、楽しく学ぶことができ、自分に合った進路を見つけやすい学科だと思います。

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