「幼児が作る社会」と「大人の社会」は似ている!
幼児もグループを作って活動をする
私たちは、教室、部活、職場など、所属する社会の中で、小さなグループを作って行動しているケースがあります。これは、まだ言葉が上手にしゃべれない3歳ぐらいの幼児でも同じで、幼稚園や保育園では、何人かのグループを作って行動しています。こうした子どもたちの場合、まず思考が似ている仲良しのペアが生まれ、その後、グループのメンバーが増えていきます。『ドラえもん』のジャイアンのように、いろいろな指示を出す子がいたり、おとなしく指示に従う子がいたり、役割分担などもある組織化したグループも見られます。
幼児同士の人間関係は大人とそっくり
こうした幼児のグループ作りや役割分担は、大人における関係作りと非常によく似ています。大人では、会議がうまく進むかどうかは人間関係に比例すると言われていますが、幼児も同様で、グループでの話し合いなどで大人と同じ傾向が見られます。
また、社会人類学者の中根千枝氏が指摘して有名になった「タテ社会の人間関係」などは幼児同士にも見られ、タテ社会を作ったり、強固な自分たちだけの集団を作ったりする部分も大人の社会とほぼ一致しています。幼児期のこうした体験が大人になっても続くのか、大人の社会を見本にして幼児がまねをしているのかはわかっていませんが、幼児の人間関係を研究するテーマの一つになっています。
幼児研究ならではの地道な作業も
幼児相手の行動観察は、子どもと行動を共にするので、楽しそうなイメージを持つ人がいるかもしれませんが、大人を対象としたものよりも難しい場合が多いのです。子どもたちは、言語が未発達なうえファンタジーの世界に入り込んだりしていて、インタビュー調査はほぼできません。そのため、調査する側は、自分の目で観察したり、ビデオで録画し、その映像をもとに行動を分析したりします。発話と行動の記録の分析には、撮影時間の6倍もの時間がかかる地道な作業が必要になるのです。
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先生情報 / 大学情報
國學院大學 人間開発学部 子ども支援学科 教授 結城 孝治 先生
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