発見がいっぱい! 遊具を使った子どもの研究
人数が変わると、遊具の遊び方が変わる?
幼稚園や保育園にはブランコや滑り台などの固定遊具が設置されています。その中でもタイヤを3本のチェーンでつるした「タイヤブランコ」で、子どもたちがどう遊ぶかを観察した研究があります。1~2人がタイヤに乗ると、バランスが悪いため「揺れ」を楽しむ遊びになりました。3人を超えると、チェーンや友達の体をつかんで回す子どもが現れて、「回転」を楽しむ遊びになりました。もっと多人数になると、並んで順番をつくったり、周囲で応援したりする子どもたちが現れました。大人が指示しなくても、人数によって子どもたちは自然に遊び方を変えていることがわかったのです。
「意見の食い違い」はチャンス!
このように固定遊具の遊びを通じて、子どもたちは仲間と一緒に遊ぶ面白さや、限られた物を融通しあって社会で生きる術、さらに自分たちでルールをつくって守ることを学びます。しかし、皆がルールに素直に従うわけではありません。タイヤブランコの場合も、先に占有している子がルールを決めるのか、後から来た子も平等なのかなどについて、意見の食い違いがみられました。
保育学では「意見の食い違いはチャンス」だと捉えます。いざこざが起きた時に、嫌な気持ちや悔しい気持ちになることに気づき、体感することで、逆の立場になったら自分はやらないようにしようと考えて、他人にして良いことと悪いことを学ぶからです。
遊具の名前で遊び方が変わる不思議
また、別の研究では、遊具の名称が子どもの遊びに影響していることもわかりました。「レンガづくりセット」というコテや型が入った砂遊びの遊具を、名称を隠して置いたら、砂をパンやケーキ、豆腐などに見立てて遊ぶ子がいました。しかし、名称を明らかにしたら、その通りに砂でレンガをつくる子が増えたのです。以上のようにさまざまな遊具と子どもとの関わりを観察することで、子どもたちが遊具などの対象をどう解釈し、環境を構成していくかを探ることができるのです。
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