規模の小さなクラス・学校で教える教師をいかに育てるか
増える小さな学校
日本の公教育では、交通条件や自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない地域にある学校を「へき地学校」に指定して、ほかの学校と比べて教育格差が出ないようにさまざまなサポートを行っています。へき地学校は広大な面積をもつ北海道や、離島の多い鹿児島や長崎、沖縄、山間部が多い岩手といった地域に多くありますが、都市部を含むそのほかの地域においても、人口減少を背景として学校の小規模化が進んでいます。こうした規模や地域の差によらず、誰もが充実した教育を受けられる環境をつくることは、公教育の重要な役割です。
授業実践や指導への支援
へき地校や小規模校の学びを充実させるために、さまざまな取り組みが行われています。例えば異なる地域にある小規模クラスをオンラインでつなげて、ともに学ぶ「交流授業」もその一つです。学校内に同級生がいない生徒も、交流授業を通して外部の友達とつながることで、学校が楽しくなるという声も聞かれます。
こうしたへき地校や小規模校に勤務する教師に向けた研修も行われています。小さな学校ならではの生徒との距離の取り方や、自然豊かな環境を生かした体験型学習のカリキュラムマネジメントなど、大規模校との違いを踏まえて、教師をさまざまにサポートしています。
大規模校にはない魅力も
教師にとっては、へき地校や小規模校で教えるからこそ得られる魅力もあります。大規模校と比べて小規模校では生徒との会話・コミュニケーションをとる機会が多く、一人ひとりの個性に合わせて工夫しながら教えることにやりがいを感じる教師も多くいます。また担任だけでなく校長や教頭、用務員などさまざまな大人が子どもと関わる機会が多く、子どもの気持ちをサポートしやすい環境が自然と整っているといえます。
教育学では、こうしたへき地校や小規模校における学校運営のあり方や多様な学びを保障する方法、あるいは規模に適した指導ができる教員の養成についてもさまざまな研究が行われています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(釧路校) 教授 川前 あゆみ 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
教育学、へき地教育、教師教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?