自然言語処理が大活躍! 人により近いAIとは?
進歩の著しいAI
人工知能(AI)は、近年目覚ましい進歩を遂げています。特に生成AIの発展は著しく、さまざまな分野での応用が期待されています。
医療から政治、法律までの応用
医療分野では、電子カルテに書かれた所見や検査値を学習させて自動診断し、最適な治療法を提案する試みが行われています。特に会話が重要な精神科とは相性がよく、音声録音やSNSデータを処理して自動診断を行います。法律分野では、司法試験の短答式試験を利用し自動解答に挑戦しています。最終的な目標は裁判の自動化です。政治分野での試みは、インターネット情報の分析による世論形成過程の予測や、フェイクニュースの自動検出です。SNSでの発信内容の矛盾やニュースとの整合性などを分析し、情報の真偽を判断します。
これらの自動診断の精度や自動解答の正答率は、テーマによっては現在8割から9割で実用的な水準にあります。今後さらに精度をあげて社会実装することが目標とされています。
より人間に近い仕組みを取り入れる
さまざまな分野での活用が期待されるAIですが、現在主流のAIの仕組みは人間の脳とは根本的に異なり、人間と同じことがなんでもできるわけではありません。例えばAIの内部は扱うデータ量や計算量があまりにも膨大なためブラックボックス化しており、AIが下した個々の判断の過程を説明するのは現実的には不可能です。またAIの仕組みはいわば「超・ものまね」なので、「人狼ゲーム」のような複雑な人間関係への対応はまだ難しいようです。このような課題の解決として、より人間に近い自然言語処理モデルを作ることが考えられています。
人の脳が情報を処理するとき、少しずつ情報を理解して記憶に入れるという操作が行われています。そして人の記憶には限界があります。それに対し、いま主流のAIには「記憶」に相当する部分がありません。そこで機械学習のプログラムにあえて「限界のある記憶」を取り入れることによって、人間らしい知的システムの構築をめざした研究が進んでいます。
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静岡大学 情報学部 行動情報学科 准教授 狩野 芳伸 先生
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