やり抜く力を見える化する! 人生の目標達成に必要なグリットとは?
新たな視点で人の行動を理解する
行動経済学は、伝統的な経済学だけでは説明できない人間の経済行動を、心理学や行動科学の手法も取り入れて、より深く理解する学問分野です。現在、研究が進められている概念に「グリット(GRIT)」があります。これは長期的な目標を達成するための「情熱」と「粘り強さ」を意味し、教育政策や労働生産性の向上にも新たな視点をもたらしています。
目標達成のための重要なカギ
「グリット(やり抜く力)」は、目に見える形で測定ができます。アメリカの学生を対象にした調査によると、学校が好きであるかどうかや、学習への取り組み方よりも、計画的な学習と努力を表すこのグリットスコアの高さのほうが、卒業などの長期的な目標達成において重要であることが明らかになっています。このことから、生まれ持った能力よりも「グリット」が長期的な目標を達成するためのカギと考えられるのです。グリットは具体的な目標を書き出し、その達成に向けたタイムスケジュールを作成し、小さな成功体験を積み重ねていくことでも、後天的に伸ばすことができます。人は、目に見えないものについては認識することが難しいので、目標なども見える化(可視化)することがとても有効なのです。
グリットに影響するマインドセット
長期間ひとつの目標に集中しつづけることは難しいと感じる人も多いでしょう。グリットは、人々の考え方や態度の傾向である「マインドセット」とも関連しています。人間の能力は「大きく成長させることができる」というマインドセットを持つ人は、成長することに喜びを見出し、常に成長する機会を見つけながら、長期間努力することができるとされています。行動経済学は人間の行動や心理を洞察する学問であり、自己理解を深めることは、自身の人生とともに、他者への理解や社会を改善することにもつながっていきます。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 政治経済学部 経済学科 准教授 田村 輝之 先生
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