あらゆる学問につながる扉 音楽で世界を知り、日本を見つめ直す
音楽に国境はある
「音楽に国境はない」とよく言われます。確かに現在のようなグローバル社会では、いろいろな国の音楽がミックスされて新しい音楽が生まれていますし、どこの国の音楽でも自由に聞くことができます。
しかし、各国固有のリズムや音階といった音楽的特徴は確かに存在します。例えば、日本の伝統音楽である神楽や民族舞踊の独特の節回しは、他国の人々にとって理解が難しい微細なニュアンスを含んでいます。これは、日本の音楽が日本の歴史や言語と深く関連しているためです。このように、音楽には文化や言語の違いという形での「国境」が存在すると言えるかもしれません。
音楽による知の越境とは
音楽とは、さまざまな分野を結びつける架け橋のようなものです。特定の国の音楽を本当に理解するには、その国の歴史、文化、言語に触れることが必要でしょう。音楽と心理学は音楽療法を通じて密接に関わっており、ピタゴラスが音階を発見したことから数学とも関連があります。音楽は、単なる技術的・芸術的表現というだけではなく、人間の感情や社会的背景に影響を及ぼし、またそれらから影響を受けているのです。音楽を深く探究することは、言語、文化、心理学、数学、物理学に至るまでの幅広い知識の交流であり、まさに音楽を通じての「知の越境」と言えるでしょう。
世界の音楽を通して日本を見つめ直す
さまざまな国の音楽を体験した後は、そこで得た新たな視点で日本の文化を改めて見ることで、その豊かさを再発見できるでしょう。音楽は外の世界を知るための窓でありながら、自身の国の魅力を再認識する手段でもあります。
さらに、楽譜を読み解きながら作曲家の思いや感情を理解しようとする試みは、その音楽だけではなく、人々への理解と共感を深める効果があります。自国の文化を大切にし、他人への共感力を育てることは、異なる文化に対する敬意を高めることにもつながります。つまり、音楽教育は異文化を理解するための重要な役割を果たしているのです。
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