【推しの言語学】~韓国語とマンガとSNS~
似ているようで実は違う、日本語と韓国語
K-POPや韓流ドラマなど韓国文化ブームにより、韓国語を学びたいと考えている人が増えています。日本語と韓国語は似ているため、韓国語は日本語話者にとって学びやすい言語の一つです。
しかし、実は二つの言語には、似ているようで違う部分が多く存在しています。その一つが「情報の言語化の程度」です。例えば、日本語では「帽子の子ども」と表現したとき、助詞の「の」で「帽子を被っている」ことが伝わりますが、韓国語では「帽子を被っている子ども」とすべて表現しなければ意味が伝わりません。
翻訳すると「キャラ」が伝わらない?
日韓両語の特徴は、マンガの中でも顕著に現れます。日本のマンガでは、僕、オレ、オラ、わたし、アタシ、ウチ、わたくし、ワシ、といった無数にある一人称の使い分けを見ることで、キャラクターの人物像が分かります。世界的に人気なあのマンガでは、主人公が変身の前と後で「オラ」と「オレ」を使い分けることで、彼がパワーアップしてより好戦的になっていることを表現しています。
しかし、英語では一人称を「I」のみで表現しますし、韓国語では目上の人に対してしか使い分けをしません。日本語で描かれていた細かな表現やニュアンスの違いを、他の言語で正確に翻訳することは実はとても難しいのです。そのため、日本のマンガやアニメのニュアンスをより正確に知りたくて日本語を学ぶ外国の方(日本語非母語話者)も多くいます。
SNSでも韓国語を研究できる!?
最近の韓国のSNSでは、ハングルの「子音字だけを使った表記」が見られるようになりました。例えば、笑い声を「ㅋㅋㅋ」(khkhkh)、「ㅎㅎㅎ」(hhh)で表したりします。日本語の「www」のような使い方ですね。「ㅋㅋㅋ」はフランクすぎるのでビジネスでは使いませんが、「ㅎㅎㅎ」は、公式的なやり取りでも使われるようになっています。あなたの身近なところにあるSNSも、実は研究しがいのある非常に興味深い存在なのです。
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先生情報 / 大学情報
文京学院大学 外国語学部 英語コミュニケーション学科 准教授 新井 保裕 先生
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社会言語学、韓国朝鮮語学先生が目指すSDGs
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