ソーシャルワークの要となる社会福祉士の役割
多様化する社会問題
社会福祉士は、困っている人に寄り添う自立支援の専門家です。近年では「8050(はちまる・ごうまる)問題」と呼ばれる、50代の子がひきこもり、80代の親が年金でその生活を支えるケースなどがあります。こうした問題の解決には、「子の就労支援」と「親の介護」の両面からのサポートが必要です。そのほかにも、社会には障害者支援、外国人差別、児童虐待、貧困、DV(ドメスティック・バイオレンス)など対応すべき多種多様な課題があります。社会福祉士はこれらの課題に対応するため、ソーシャルワークの理論のほか、医学、心理学や権利に関する法律など広範な知識が求められます。
循環的学習で生きた知識に
社会福祉士国家試験は、近年、高水準な知識と実習や演習による現場の経験がより重視されるようになりました。教材を読むだけの受動的な学習では、現場のさまざまな状況に対処することが難しいためです。社会福祉士をめざすには、友人とのグループ学習で法律を読みこむ、小テストで間違えた問題を繰り返し学習する、といった能動的な学習が求められます。さらに、演習や実習の現場において、知識と体験を結び付けていくことで知識のインプットと行動のアウトプットを循環させる学習の重要性が増しています。
時代の変化に対応する責務
社会福祉士は広い視野が求められる総合的な専門職です。個別のケースに対するミクロの視点と、相談者を取り巻く生活環境を包括する中間的なメゾの視点、さらに大きな社会や時代へのマクロの視点を併せもつことが重要です。
国家資格の取得は社会福祉士のゴールではなく、スタート地点です。社会福祉士の規定にも「資質向上の責務」が明記されているように、資格を取得して福祉の現場で働き始めてからも、社会や時代のニーズと、関連する法改正に対応するために常に知識をアップデートしていく必要があります。ソーシャルワークの要として高い資質が求められる職種ということもあり、今後の社会における重要性がさらに高まると予想されています。
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先生情報 / 大学情報
大正大学 人間学部 社会福祉学科 講師 田幡 恵子 先生
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社会共生学、社会福祉学先生が目指すSDGs
先生への質問
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