行政サービスの受け手から、地域住民自らが運営する地域福祉へ
行政や専門職だけでなく、住民も動くことが必要
日本では、2025年に団塊の世代が75歳以上になるなど、高齢化が進んできています。今後、国民全体として、地域福祉を考えていく必要があります。具体的には、行政を中心に医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士など、さまざまな専門職が連携してサービスを行うことに加えて、地域住民自らが参加し、ケアが必要な人を支えていくことも重要です。実際、町内会、自治会、民生委員、ボランティア、NPO、社会福祉法人などが中心となって、活発に活動している地域もあります。
多世代交流でみんなが参加できる仕組みを作る
地域住民が中心となり、地域福祉を行うにあたっての重要なキーワードの一つは「多世代交流」です。子どもから高齢者まで、誰もが参加できる雰囲気や仕組みを作ることが必要です。最近では特に、高齢者と子ども、もしくは子育て世代を対象とした交流は、多くの地域で行われ、子育ての相談会、クリスマスパーティーやハロウィンパーティーの開催、カフェの運営などが行われています。また、健常者と障がい者が一緒にパンやお菓子を商品開発し、自立につなげているといった事例もあります。こうしたイベントや事業は、参加することで住民同士の絆が生まれ、地域活性化やまちづくりによい変化を与えている場合が多いのです。
都市ならではの課題もある
もちろん、課題もあります。こうした交流に参加するのは、いつも同じ顔ぶれになってしまうケースが見受けられます。かといって、参加したくない人を無理に呼び込もうとしてもうまくいきません。また都市部では、コンビニがありますし、行政サービスも充実しているため、障がい者や高齢者は、ホームヘルパーが訪問してくれれば、地域との交流なしに生活できてしまうという面もあります。
地域住民それぞれが自分たちの地域をよりよくしていこうという意識を持ち、実際に行動に移すということは、大変なことですが、今求められていることなのです。
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先生情報 / 大学情報
日本女子大学 人間社会学部 社会福祉学科 准教授 黒岩 亮子 先生
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