心と行動をめぐる「なぜ」を大切にしよう
「やればできる!」と言われて、やる気が下がる?
心理学では、人の「心」の一般的な傾向と、人それぞれで異なる「心」の違いの両方が研究の対象です。たとえば自分や物事についてポジティブに考えるとモティベーションが高まり、はじめから無理とあきらめるよりも望ましい結果が得られやすいでしょう。だから「やればできる」と励すことはたいてい有効なのですが、逆にパフォーマンスが落ちてしまう人もいます。なぜでしょう。どうやら、「自分ができる」とは思わないようにして、準備を怠らないように工夫しているようなのです。「心」の一般的な傾向を明らかにすることで、同時にその個人差もとらえることもできるようになります。
心理学の答えの探し方
他者の行動や自分の行動に対してでさえも、「なぜあんなことをしたのだろう」と疑問を感じることがあります。この答えを見つけるために、周りの人の話を聞いたり自分の経験に基づいて自問自答することはとても重要です。ただし私たちの意識の働きには限界があり、行動の本当の理由に気づくことはできないことも指摘されています。そこで心理学は、人の行動や心で起こる現象の理由やプロセスを明らかにするため実験的な手法を用いています。「心」の主観的な意識的な側面も考慮しつつ、客観的に科学的に解明しようとする姿勢に心理学の特徴が現れています。
自分の問いの意味を考える
たとえば「子犬をかわいいと感じるのはなぜか」と疑問をもった人はどんな答えを探しているのでしょうか。子犬の外見のせいか(目が大きいから)、その人の欲求のせいか(癒やされたいから)、育った経験によるか(以前犬を飼っていたから)、体内の物質が関連するか(オキシトシンが分泌されるから)、ヒトの心の進化と関係があるのか(ヒトの祖先が犬と生活するようになったから)など、考えることができます。これらの疑問は一見ばらばらに見えますが、いずれも心理学で研究されています。自分の問いの意味を考えることで、自分に合った心理学の専門分野を見つけることができるでしょう。
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