科学の力で「幸せ」を「見える化」する

科学の力で「幸せ」を「見える化」する

感情は体と密接につながっている

誰しも、定期テストが近づくと食欲が落ちたり、逆にうれしいことがあると食欲がわいたりといったことが起こるものです。あなたも、「うれしい」や「悲しい」「楽しい」といった感情が、体と密接につながっているのを実感したことがあるでしょう。こうしたつながりを踏まえて、体を調べることで「感情を見える化」する研究が進められています。例えば、私たちが「幸せな気持ち」になっている時、脳の中はどうなっているのかが明らかになってきました。

脳の特定の部位が活性化

MRI(磁気共鳴画像)と呼ばれる体の中の様子を見る高性能な装置の中に入った実験参加者に、いくつもの画像を見てもらいます。その上で、どの画像を見た時に幸せを感じたか、また幸せの程度はどうだったかについて答えてもらいます。すると、高い幸福度を感じた時ほど、前頭葉の少し内側の方にある「吻側(ふんそく)前部帯状回」と呼ばれる部位が活性化する(=血流量が増加する)ことがわかってきました。また、吻側前部帯状回が小さくなっている人は、あまり強く幸せを感じられないことも明らかになっています。

幸せを感じるメカニズム

実は、ある特定の遺伝子を持つ人は幸せを感じやすいこともわかっています。「幸せ」は哲学的・心理学的な問題と思われがちでしたが、いまやサイエンス(正確には生命現象を体の働きから研究する生理学など)の対象になってきたわけです。いずれ「幸せを感じるメカニズム」も解明されるようになるでしょう。
サイエンスによる「幸せ」研究が進めば、「こういう食事を取れば、幸せを感じやすい体質になる」や、「こんな運動をすることで幸せを感じる脳の部位が活性化する」といったことが当たり前の時代が来るかもしれません。幸福感は体にもいい影響を与えますから、間違いなく私たちの健康にもつながります。

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愛知東邦大学 人間健康学部 人間健康学科 教授 松永 昌宏 先生

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感情神経科学、健康情報学

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メッセージ

高校生に悩みや不安はつきものですが、それらを感じた時は周りを頼るようにしましょう。人との関係が不安を和らげて、心身の健康も促します。その際、できるだけ「リアル」で話をするようにしてください。脳科学の研究から、ネットへの依存が人間関係の構築にマイナスであることがわかっているからです。そして、できるだけ物事はポジティブに考えるようにしましょう。ポジティブ思考だと、見えなかったものが見えるようになります。仮にチャレンジして失敗しても、十分やり直しはできます。頑張りましょう。

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愛知東邦大学は、経営学部ビジネス学科、コミュニケーション・デザイン学科、人間健康学部人間健康学科、教育学部子ども発達学科の3学部4学科の大学です。学生が社会にでて生きていく礎を作る4年間を願い、小規模大学としての強みを活かしながら、学生一人ひとりの可能性の芽を大切に育てる大学をめざします。
大きく変化する時代を、学生がたくましく生き抜くには、教職員は学生と真摯に向き合い、個々に眠っている才能や能力を引き出すことに全力で取り組みます。