自分の価値を高める人間関係をつくるには
仲良くなるきっかけは「偶然」
友だちを見つけるとき、決め手になるのは相手のパーソナリティでしょうか? 実は、偶然近くにいた人と親しくなることが多いという心理学の実験結果があります。人間は、物理的に会う回数が多い人ほど魅力的に感じることがあるのです。例えば、新学期が始まったときに席が近かったり、部活が同じだったりして顔を合わせる機会が多いと、仲良くなりやすいのです。
耳寄りな情報は誰から?
偶然ではなく意識的に、自分の価値を高める人間関係(対人ネットワーク)をつくるにはどう行動すればよいでしょうか。例えば、会社で昼食を一緒にとるとき、同じチームのメンバーと出かけると、そのチームの情報しか得られませんが、違うチームのリーダーを集めて出かければ、今まで知らなかった耳寄りな情報を聞ける可能性が高くなります。つまり、異なる複数のグループのリーダーと仲良くなり、自分がグループ同士をつなげる人になれば、どのグループからも頼りにされるので、その人の価値は高まると考えられるのです。
1970年代のアメリカで、転職先を探すとき、どんな人から有益な情報を得たかを調べた研究があります。最も多かったのは、普段はあまり付き合いのない知人など、それほど親しくない「弱いつながり」の人から情報を得たというものでした。このことも、異なるグループの人とのつながりが、有益な情報をもたらす可能性が高いことを示しています。
合理的に助け合う社会
感情に左右されずに人間関係をつくるのは、難しいことかもしれません。しかし、人が覚えられる人間関係の数は、脳(新皮質)の大きさから、平均すると約150程度でしかないことが知られています。驚くほど記憶力がよい人は、人間関係をグループにして覚えるなどのテクニックに長けているのです。人間は、そもそも1つのグループに所属して安心したいという欲求を持っていますが、利益を考えるなら、限りある記憶力をうまく使って、人間関係の幅を広げて合理的に助け合う社会をつくる、という方法もあるのです。
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