幼稚園や保育園で「環境を通した保育」の実践をめざして!
子どもにとって楽しい遊びとは?
日中を保育園や幼稚園で過ごす0~6歳の子どもは、絵本を読んだり積み木をしたり、園庭で鬼ごっこしたりして遊びます。ただ、ほとんどは大人主導の受動的なもので、そこに子どもの意志はあまり反映されていません。子どもたちに同じことをさせると管理は容易です。一方で、絵本を読むより外で遊びたい子や、積み木をやる気分じゃない子にとっては、決して楽しくはありません。
自分がやりたいことをやるから楽しいし、それが子どもにとっての遊びです。
環境の豊かさとは、壊せるものが多いこと
脳の大事な機能が密集している前頭葉の大半は、8歳頃までに作られると考えられており、就学前の子どもが主体的にやりたいことを見つけて挑戦したり、「やり切った!」という感覚を、遊びを通して体験できる環境はとても大切です。
環境の豊かさとは、壊せるものが多いことだと言えるでしょう。例えば、グチャッとできる泥、折ったり割いたりできる木、摘むことのできる花など、アプローチに対して応答のある環境は楽しいのです。パソコンやゲームなど人工的なものも楽しいし室内でも遊べますが、壊して使うことはできません。壊せるものがいっぱいある自然環境にはかなわないのです。
理想は、周辺にある森や川など地域の自然に触れながら自由に遊ぶ「里山保育」ですが、園庭に登り下りできる築山(つきやま)を作ったり、たとえ園庭がなくても室内環境を工夫することは可能です。
保育士自身が環境づくりを提案する
子どもを管理することに重きを置いた保育に対して、保育士自身が「これでいいのかな?」と思えることが重要です。しかし、現状しか知らず疑問も感じなければ、環境は変えられません。里山保育などを実践している園を見学し、多様な選択肢を持てるようになること、そして保育士自ら本質的な環境づくりを提案することが求められます。また大人の価値観で判断せず、子どもの選択肢を尊重し、その行動を見守ることも保育士には大切な要素です。
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先生情報 / 大学情報
東北文教大学 人間科学部 子ども教育学科 准教授 下村 一彦 先生
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