講義No.08751 児童学 教育

幼稚園や保育園で「環境を通した保育」の実践をめざして!

幼稚園や保育園で「環境を通した保育」の実践をめざして!

子どもにとって楽しい遊びとは?

日中を保育園や幼稚園で過ごす0~6歳の子どもは、絵本を読んだり積み木をしたり、園庭で鬼ごっこしたりして遊びます。ただ、ほとんどは大人主導の受動的なもので、そこに子どもの意志はあまり反映されていません。子どもたちに同じことをさせると管理は容易です。一方で、絵本を読むより外で遊びたい子や、積み木をやる気分じゃない子にとっては、決して楽しくはありません。
自分がやりたいことをやるから楽しいし、それが子どもにとっての遊びです。

環境の豊かさとは、壊せるものが多いこと

脳の大事な機能が密集している前頭葉の大半は、8歳頃までに作られると考えられており、就学前の子どもが主体的にやりたいことを見つけて挑戦したり、「やり切った!」という感覚を、遊びを通して体験できる環境はとても大切です。
環境の豊かさとは、壊せるものが多いことだと言えるでしょう。例えば、グチャッとできる泥、折ったり割いたりできる木、摘むことのできる花など、アプローチに対して応答のある環境は楽しいのです。パソコンやゲームなど人工的なものも楽しいし室内でも遊べますが、壊して使うことはできません。壊せるものがいっぱいある自然環境にはかなわないのです。
理想は、周辺にある森や川など地域の自然に触れながら自由に遊ぶ「里山保育」ですが、園庭に登り下りできる築山(つきやま)を作ったり、たとえ園庭がなくても室内環境を工夫することは可能です。

保育士自身が環境づくりを提案する

子どもを管理することに重きを置いた保育に対して、保育士自身が「これでいいのかな?」と思えることが重要です。しかし、現状しか知らず疑問も感じなければ、環境は変えられません。里山保育などを実践している園を見学し、多様な選択肢を持てるようになること、そして保育士自ら本質的な環境づくりを提案することが求められます。また大人の価値観で判断せず、子どもの選択肢を尊重し、その行動を見守ることも保育士には大切な要素です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北文教大学 人間科学部 子ども教育学科 准教授 下村 一彦 先生

東北文教大学 人間科学部 子ども教育学科 准教授 下村 一彦 先生

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教育学、保育学

メッセージ

子どもにとってその時期に十分に遊び切ることはとても重要です。就学前に過ごす保育園や幼稚園で、子どもが主体的に遊ぶにはどのような環境がいいのかを知るためにも、子どもと一緒に学びましょう。子ども特有の感覚を面白がれるあなたを待っています!
それから、みそ汁を作れるようになってください。幼少期ほど食育は重要なので、みそ汁が作れれば、保育職に就いたときはもちろん、いつか親になったとき離乳食が作れます。味覚が敏感な小さな子に、レトルト食品ではなく、手作りのみそ汁を食べさせてあげましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東北文教大学に関心を持ったあなたは

“自分らしさ”をのばし、人間性豊かな先生になる
大学で学ぶための基礎を固め、専門教育へとつなげる「基礎教育科目」、教育・保育において必要な知識を修得する「専門教育科目」、教育や保育の現場で出会うさまざまな場面に応用できる、より専門的な知識と技術を修得する「専門発展科目」の三つの柱でカリキュラムが構成され、教育・保育のスペシャリストの養成をめざしています。
また、学生一人ひとりの個性を大切にし、人間味ある先生となって子どもと関わり、未来を創っていってもらいたいと考えています。