講義No.13962 薬学

「薬剤師」にしかできない仕事-薬局を飛び出して活躍する薬のプロ

「薬剤師」にしかできない仕事-薬局を飛び出して活躍する薬のプロ

薬剤師の仕事

病院で処方箋が出ると、薬をもらいに調剤薬局に行きます。カウンターの奥で薬を整えて、渡してくれるのが薬剤師です。薬剤師は、処方箋をもとに医薬品を調製するほか、必要な医薬品の管理をして、服用の仕方などの指導を行う職業です。その任務には、公衆衛生の向上や増進に寄与して国民の健康な生活を確保するという目的もあります。つまり薬剤師は、病院や薬局で薬を提供するだけでなく、病気の予防や健康の増進、健康寿命の延伸に薬学的な観点から取り組んでいるのです。

薬局の外へ

調剤薬局の薬剤師は、薬局の外でもさまざまな活動を行っています。その一つは、高齢者向け健康サロンへの支援など、地域への関与です。日本は平均寿命が長い国ですが、その一方で健康寿命の延伸が求められており、国の指針にもなっています。薬剤師の専門性である、健康のために服用するサプリメントを含めた薬剤や医療に関する知識を生かして、講演会などで健康維持増進に関する発信をするのは重要な役割です。
また、薬剤師の活躍の場は学校にもあります。学校薬剤師は、学校保健安全法により大学を除くすべての学校に設置されています。主には、プールの水質検査や教室の照度や換気の検査など、学校の環境衛生検査を担当します。ほかにも、薬物乱用防止教室の開催や、感染症対策の指導、さらには特別教室などでの化学実験の指導など、薬剤師の知識を生かした関わりも行っています。

これからの薬剤師

近年ではAI技術の発達やロボットの活用により、調剤業務の効率化が進んでいます。一方で、対人コミュニケーションが重要となる健康指導などは、薬剤師に求められている業務であることから、今後は薬局の外での活動がより拡大していくと考えられます。これからの活躍の可能性を探るために、薬剤師が健康指導を行った際の意識の変化や、骨密度などの数値の変化を分析して指導の効果が検証されています。薬剤師が薬局の外でできる活動は始まったばかりで、その拡大が人々の健康増進の鍵になるはずです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

就実大学 薬学部 薬学科 准教授 加地 弘明 先生

就実大学 薬学部 薬学科 准教授 加地 弘明 先生

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医療薬学、社会薬学、臨床生化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

薬剤師は、病院や薬局の中で薬を扱っているというイメージが強いかもしれません。しかし、近年では外のさまざまな場で活躍をし始めています。薬剤師が向き合う対象は、薬から人へと変化してきたのです。そのため、薬剤師には専門的な薬の知識だけでなく、他職種の人や患者さんと話すコミュニケーション能力、アイデアを出して実行に移すための想像力・企画力・実践力が求められるようになってきています。新たな活躍の場が広がる薬剤師をめざして、ぜひ本学薬学部に学びに来てください。

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就実学園は、創立120年を迎えます。就実大学は、人文科学部(表現文化学科、実践英語学科、総合歴史学科)、教育学部(教育学科※)、心理学部(心理学科※)、経営学部(経営学科)、薬学部(薬学科)を設置する総合大学です。人間性の充実に重きを置きながら、社会で即戦力となれる人材の育成に努めています。岡山駅から1駅の「西川原・就実」駅下車徒歩1分のアクセス抜群のキャンパスで全学生が学んでいます。
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