サービスを利用しやすくなる仕組みをデザインしよう

サービスを利用しやすくなる仕組みをデザインしよう

生きづらさはサービスのせい?

私たちは、自分に足りない能力を“サービス”を通じて他の人から借り受けながら生活しています。例えば、飲食店のサービスは、旬の食材を目利きしたり、それらを最高の状態で味わえるようにしたりといった能力を提供してくれます。また、学習塾のサービスは、適切に目標を設定したり、理解度をきめ細やかに察知したりといった能力を提供してくれます。こうした能力の交換がうまくいけばいいのですが、そうではない場合もあります。もしかしたら、私たちが生活の中で抱える困難の多くは、私たちの周りにあるサービスの問題だと見なすことができるかもしれません。

育児支援サービスは使いたいけれど

例を挙げましょう。現代の子育て世帯は共働きが多く、仕事に家事に育児と、時間が足りないことが課題になっています。食べ物のサブスクや家事代行のようなサービスを活用すれば、子どもと関わる時間や親自身がリフレッシュする時間が確保できるかもしれません。しかし、どのようなサービスがあるか調べる時間もなく、サービスのことを知らずに過ごしてしまう人もいます。また、「親が家事や育児をするべき」といった考え方にとらわれて利用をためらう人もいます。そのため、サービスを使えない、使わない事情がある人の状況を踏まえ、利用しやすくする仕組みやよりよいサービスを生み出すことが求められます。

デザインを通じてサービスのあり方を変える

こうした問題をまるっと解決、とまではいかないかもしれませんが、今とは別のあり方を提示し世に問うことがデザインという営みです。よりよいサービスをデザインするには、生活者の声が重要です。例えば、子育て世帯を対象に育児に関するアンケートやインタビューを実施すると、有意義な意見が集まります。SNSやQ&Aサイトの投稿を分析することで得られる知見もまた有益です。そうしたデータを分析してサービスの利用を阻む要因を明らかにすることは、今とは別のあり方を考え出し、社会に実装する上で大いに役立ちます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

横浜市立大学 国際商学部 国際商学科 准教授 根本 裕太郎 先生

横浜市立大学 国際商学部 国際商学科 准教授 根本 裕太郎 先生

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サービス学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の研究は、心身の良い状態を指す「ウェルビーイング」に基づいたサービスデザインをテーマにしています。ウェルビーイングを考える上では、「自分の価値観に沿って活動する」ことが重要で、そのためには「自分らしさを見つける」ことが大切だと感じています。自分らしさを見つけるためには、とにかくいろいろなことに挑戦することをお勧めします。挑戦したことを振り返ったり、誰かとその経験について話し合ったりすることで、自分らしさが見えてくるでしょう。

横浜市立大学に関心を持ったあなたは

横浜市立大学は、「実践的な教養教育」を導入しています。高度な専門知識を教養教育を通じて身につけ、バランスのとれた人材育成を図る教育システムです。日本を代表する国際港湾都市に位置する大学として、世界に羽ばたく人材の輩出を目的に、国際感覚を養うさまざまな取り組みも充実しています。個々の可能性を最大限引き出すための厳しい教育プログラムを愛情を持って進めていきます。