サービスを利用しやすくなる仕組みをデザインしよう
生きづらさはサービスのせい?
私たちは、自分に足りない能力を“サービス”を通じて他の人から借り受けながら生活しています。例えば、飲食店のサービスは、旬の食材を目利きしたり、それらを最高の状態で味わえるようにしたりといった能力を提供してくれます。また、学習塾のサービスは、適切に目標を設定したり、理解度をきめ細やかに察知したりといった能力を提供してくれます。こうした能力の交換がうまくいけばいいのですが、そうではない場合もあります。もしかしたら、私たちが生活の中で抱える困難の多くは、私たちの周りにあるサービスの問題だと見なすことができるかもしれません。
育児支援サービスは使いたいけれど
例を挙げましょう。現代の子育て世帯は共働きが多く、仕事に家事に育児と、時間が足りないことが課題になっています。食べ物のサブスクや家事代行のようなサービスを活用すれば、子どもと関わる時間や親自身がリフレッシュする時間が確保できるかもしれません。しかし、どのようなサービスがあるか調べる時間もなく、サービスのことを知らずに過ごしてしまう人もいます。また、「親が家事や育児をするべき」といった考え方にとらわれて利用をためらう人もいます。そのため、サービスを使えない、使わない事情がある人の状況を踏まえ、利用しやすくする仕組みやよりよいサービスを生み出すことが求められます。
デザインを通じてサービスのあり方を変える
こうした問題をまるっと解決、とまではいかないかもしれませんが、今とは別のあり方を提示し世に問うことがデザインという営みです。よりよいサービスをデザインするには、生活者の声が重要です。例えば、子育て世帯を対象に育児に関するアンケートやインタビューを実施すると、有意義な意見が集まります。SNSやQ&Aサイトの投稿を分析することで得られる知見もまた有益です。そうしたデータを分析してサービスの利用を阻む要因を明らかにすることは、今とは別のあり方を考え出し、社会に実装する上で大いに役立ちます。
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