「アイドル」「推し」という窓から現代社会を見る

「アイドル」「推し」という窓から現代社会を見る

アイドルを推す

2020年前後から、好きなアイドルを「推し」、それを応援する行為は「推し活」と呼ばれるようになりました。熱狂的なアイドルファンはそれ以前にも存在していましたが、推し活をする人たちには、好きな対象をほかの人に勧める、つまり「好きを共有する」という特徴が見られます。また全国のコンサート会場に駆けつけたり、アイドルゆかりの地を巡る「聖地巡礼」や、あるいは(チケットの当選確率を高めたいといった目的で)ボランティア活動などに参加する「徳を積む」といった行為は、独特のアイドル文化を形成するとともに、旅行や観光を中心とする経済効果を生んだり、社会貢献活動につながるという点からも注目を集めています。

アイドル文化とジェンダー

一方で、アイドル文化はジェンダーにも深く関わっています。特にメディア上では非常にステレオタイプ的に扱われ、「男らしさ」や「女らしさ」が強調される場面が多くあります。例えば恋愛をしたことでバッシングされたり、若さが重視されたりするのは女性アイドルばかりです。また、近年ではアイドルの推し活に励む女性にメディアが注目する機会が増え、大きなファンダム(ファン同士の交流・連携)を形成しています。彼女たちは女性オタクと呼ばれることがありますが、男性に対しては男性オタクという呼称は使われません。これはオタク=男性であるという意識がいまだに働いていることを示しています。

アイドルは「窓」である

今日、アイドルはメディアにおいて欠かせない重要なコンテンツになっていますが、ジェンダーの問題を含めて「アイドルはこうあるべきだ」という規範的なイメージが再生産され続けています。私たちもそれを当たり前のものとして受け入れていますが、この「当たり前」を疑う学問が、社会学です。アイドルを研究対象=「窓」と位置付けてそこから現代社会を見ること、そして当たり前にとらわれず問題を見つけ出し、より良い社会づくりにつなげていくことも、社会学という学問が持つ重要な役割なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 文学部 社会学科 講師 田島 悠来 先生

帝京大学 文学部 社会学科 講師 田島 悠来 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会学、文化社会学、メディア文化論

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の研究コンセプトは「好きなこと研究」です。例えばアイドルや身近なメディアコンテンツも、社会学では研究の対象になります。アイドルだけでなく、そのファンや関連するメディア、そこから形成されるアイドル文化について学び、そこにある「当たり前」に疑問を投げかけながら社会について考えていくことが、社会学の特色です。あなたにもきっと好きなことがあるはずです。その好きなことを「窓」として、社会について考えてみませんか。

帝京大学に関心を持ったあなたは

医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。文系学部を中心とした八王子キャンパスでは、約15,000人の学生が学んでいます。東京多摩丘陵の自然豊かな景観に位置し、キャンパスリニューアルにより新校舎棟「SORATIO SQUARE(ソラティオスクエア)」「帝京大学総合博物館」をはじめとした、施設・設備が整備され、教育指針である「実学」「国際性」「開放性」を柱に、自ら未来を切り拓く人材を育成しています。