まちづくりを通して「ウェルビーイング」を深めるには?

まちづくりを通して「ウェルビーイング」を深めるには?

幸せの実感をとらえるには、何が必要?

ブータン王国では、1990年代から「国民の幸せ」を測る指標を重視した国づくりを行ってきました。その取り組みは今や世界に広がり、国連機関が世界各国の幸福度に関する報告(World Happiness Report)を発行するなど、幸せの実感をとらえる「ウェルビーイング」という指標や概念が重要視されています。WHO(世界保健機関)ではウェルビーイングについて「精神的・身体的・社会的に良好な状態」と定義し、日常生活に必要な要素として、心身の健康だけでなく「社会的なつながり」にも焦点を当てています。

「いきいきと活躍できる場=舞台」を支える

ウェルビーイングは、多様な分野からアプローチされている概念です。医療や教育などのほか、まちづくりを通して考えることもできます。実際に、地域の中にほっとできる居場所があって、さらに自己表現や活躍できる舞台が編み込まれていると、人々のウェルビーイングの支えになることがわかってきています。例えば、映画、コーヒー、音楽、モビリティなど多様なテーマについて、世代を問わず参加できる「学び合いの場」をつくるとします。すると、まちの人たちに出会いや交流が生まれて家庭や学校以外の居場所になったり、得意や可能性が引き出されていきいきと活動できる場になったりします。

「プレイス」がもっと増えれば

まちづくりで考える「場所」には、ただの物理的空間である「スペース(space)」と、人がそこに関与していて愛着などを感じられる場所である「プレイス(place)」があります。例えば公園は、通り過ぎる人にとっては意味を感じられない空間であっても、人によってはほっとできる居場所や自己表現できる舞台になっている場合も考えられます。特に地方では人口の減少によりスペースが増えてくる中で、プレイスを生み出せる可能性を高める必要があります。そして、人々がその場所を居場所や舞台と認知することができるきっかけや行為のプロセスを考えていくことも大切なのです。

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先生情報 / 大学情報

福井県立大学 地域政策学部 地域イノベーション学科(仮称) ※2026年4月開設予定 (設置構想中) 准教授 高野 翔 先生

福井県立大学地域政策学部 地域イノベーション学科(仮称) ※2026年4月開設予定 (設置構想中) 准教授高野 翔 先生

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まちづくり、ウェルビーイング、公共政策

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたの「好奇心」をまず大事にしてほしいです。好奇心を耕すためには、そこに関わる地域の大人たちに会ったり、いろいろな現場に足を運んだりすることが大切です。まちづくりに興味があれば、実際に出かけてみましょう。自分がやりたいこと、続けていきたいことがすぐに見つかるとは限りません。その中で好奇心に変化があっても構わないのです。そうやって考えたり、見える景色の幅や行動範囲を広げたりした先に、これからの大学の学部選びや仕事選びがあるといいと思います。

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本学は、経済学部(経済・経営)、生物資源学部、海洋生物資源学部、看護福祉学部(看護・社会福祉)の4学部6学科からなる公立の総合大学です。
福井県は、歴史や自然の豊かさ、生産技術、生活文化の質の高さを誇り、非常に優れた「学びと体験のフィールド」です。
充実した施設・設備と恵まれた自然環境の中、少人数教育を柱に、専門能力の養成はもちろん、教養・語学・情報教育を重視した多彩な教育プログラムを展開しています。
また、グローバル時代に対応した留学制度の充実など、教育の国際化にも力を入れています。