「好き」から始まる社会学
「好き」でつながる
社会学は「好き」から始まります。恋愛、アイドル、音楽、アニメ……。例えば、誰かと「好きなアイドルグループ」が一緒の時、その人とつながれます。こうした「つながり」(社会関係)と「つなげるもの」(メディア)をみていくのが社会学です。あるいは、「恋愛」。恋するふたり、ふたりをつなげるものは「愛」。恋愛は自由ですが、結婚は制度です。かつて、女性は24歳までに結婚すべきという風潮や仕事の制限もありました。また、同性カップルの結婚は難しいのが現状です。こうした問題を解き明かそうと、ジェンダー(男と女)・セクシュアリティ(性のあり方)の社会学が展開されてきました。このように恋愛一つ取っても、社会や歴史、世界との関わりが見えてきます。
好きと嫌い
あなたの「好き」が他の人には「嫌い」にもなりえます。例えば、セクシュアリティについて、日本でも、多様な性のあり方が議論されるようになりました。「同性愛」や「トランスジェンダー」をテーマにしたテレビドラマ・映画も作られるようになり、「セクシュアリティ」の多様性が認知され始めています。けれども、異性愛があたりまえの社会では、同性愛は嫌悪され差別されがちです。アメリカの場合、宗教上の理由からとくにその傾向が強いです。日本はアメリカほどではありませんが、一見、同性愛に寛容に見えて、実は無関心という社会学者の議論もあります。
視点をかえてみてみる
自分の「好き」が他者の「好き」と一緒の時、二人はつながれます。けれども、自分の「好き」が他者の「嫌い」になる時、二人はつながれなくなります。この時、自分の視点ではなく、他者の視点で見てみることが大切です。一つの視点だけでなく、別の視点から、多面的につながりとつなげるものを見ることで、ものごとを客観的に相対的にとらえられます。すると、目標(より大きな平等)に近づくためにはどうしたらよいかが見えてきます。それが社会学の目標・目的でもあり、誰もが好きなことを「好き」と言える社会の実現に近づけるのです。
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