講義No.14107 社会学

「好き」から始まる社会学

「好き」から始まる社会学

「好き」でつながる

社会学は「好き」から始まります。恋愛、アイドル、音楽、アニメ……。例えば、誰かと「好きなアイドルグループ」が一緒の時、その人とつながれます。こうした「つながり」(社会関係)と「つなげるもの」(メディア)をみていくのが社会学です。あるいは、「恋愛」。恋するふたり、ふたりをつなげるものは「愛」。恋愛は自由ですが、結婚は制度です。かつて、女性は24歳までに結婚すべきという風潮や仕事の制限もありました。また、同性カップルの結婚は難しいのが現状です。こうした問題を解き明かそうと、ジェンダー(男と女)・セクシュアリティ(性のあり方)の社会学が展開されてきました。このように恋愛一つ取っても、社会や歴史、世界との関わりが見えてきます。

好きと嫌い

あなたの「好き」が他の人には「嫌い」にもなりえます。例えば、セクシュアリティについて、日本でも、多様な性のあり方が議論されるようになりました。「同性愛」や「トランスジェンダー」をテーマにしたテレビドラマ・映画も作られるようになり、「セクシュアリティ」の多様性が認知され始めています。けれども、異性愛があたりまえの社会では、同性愛は嫌悪され差別されがちです。アメリカの場合、宗教上の理由からとくにその傾向が強いです。日本はアメリカほどではありませんが、一見、同性愛に寛容に見えて、実は無関心という社会学者の議論もあります。

視点をかえてみてみる

自分の「好き」が他者の「好き」と一緒の時、二人はつながれます。けれども、自分の「好き」が他者の「嫌い」になる時、二人はつながれなくなります。この時、自分の視点ではなく、他者の視点で見てみることが大切です。一つの視点だけでなく、別の視点から、多面的につながりとつなげるものを見ることで、ものごとを客観的に相対的にとらえられます。すると、目標(より大きな平等)に近づくためにはどうしたらよいかが見えてきます。それが社会学の目標・目的でもあり、誰もが好きなことを「好き」と言える社会の実現に近づけるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

立正大学 文学部 社会学科 教授 鈴木 健之 先生

立正大学 文学部 社会学科 教授 鈴木 健之 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

文化社会学、社会思想、社会学史

先生が目指すSDGs

メッセージ

文学や社会学は、わたしの好きなことを自由に探求できる学問です。大学はそれを思いきり学べる場所であり、一生に1度の機会とも言えます。わたしの「好き」は、人や社会につながっています。わたしの「好き」から始めて、経済、政治、宗教、そして歴史といった幅広い分野から探求できるのが社会学です。誰かの好きな話を聞いて視野を広げたり、別の観点を得たりしながら教養を深めると、人生が豊かになります。将来やりたいことがわからないなら、まずは好きなことをとことん探求しましょう。必ず、自分の人生や将来につながります。

立正大学に関心を持ったあなたは

立正大学は、9学部16学科を有し、多彩な学問分野において広く深く学ぶことができます。加えて充実したキャリア形成支援により、社会の多方面で活躍する優れた人材を輩出しています。本学は1872年(明治5年)東京・芝に開校の起点となる小教院を設立し、2022年で開校150周年を迎えました。品川キャンパスは山手線2駅から徒歩5分の都市型キャンパス、熊谷キャンパスは東京ドーム約8個分の広大な自然環境型キャンパスをもつ、学生数1万人を超える総合大学です。