サッカー映像分析技術も応用! デジタルツインで築く安全な道路交通

サッカー映像分析技術も応用! デジタルツインで築く安全な道路交通

「デジタルツイン」を道路交通に

現実空間をバーチャル空間に再現して、現実空間の状況データをバーチャル空間でシミュレーションし、その結果を現実空間で利用する仕組みを、現実とバーチャルでの双子と言う意味で「デジタルツイン」と呼びます。
現在は主に建設業界などで活用されていますが、より安全で快適な未来の道路交通にも役立てようという研究が注目されており、デジタルツインを実現するための「データ収集、分析、制御」という各プロセスの技術が、さまざまな角度から研究開発されています。

サッカーの映像分析技術も応用

データ収集の方法として、VR上で運転者の行動の傾向を把握するシステムが開発されています。さまざまな交通システムに生かすために、バーチャル空間でドライビングゲームのように運転してもらい、運転者の傾向を把握します。また、サッカーの映像分析で選手の位置やパスの方向を推測する技術を発展させて、歩行者の位置や動きを把握する仕組みも開発されました。
さらに、運転者が着けたゴーグルやコンタクトレンズ上で、道路状況のデータやアラート情報を、運転の妨げにならないように表示するAR技術の研究もあります。

素早い計算が必要

路面の状態をセンサで情報収集して、その凍結度合いを計算して運転の制御に生かす技術も研究されています。自動車は常に高速で動いているため大切なのは「即時性」です。この技術では、データをインターネットでサーバに送るなどの時間を減らすために、自動車に搭載したマイコンで計算・分析するシステムが取り入れられています
未来の道路交通といえば、AIで制御された自動運転車が行きかう様子が思い浮かぶかもしれません。しかし現実的には、すべての人が自動運転車を利用するのはずっと先です。そのため、自動運転車の性能を高めるだけでなく、道路交通全体をさまざまな角度から見て、状況を正確に把握、分析、制御して運転者をアシストする仕組みや、信号などの交通規制を的確にする仕組みが大切なのです。

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北海道大学 工学研究院 先端モビリティ工学研究 准教授 髙橋 翔 先生

北海道大学 工学研究院 先端モビリティ工学研究 准教授 髙橋 翔 先生

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今から15~20年先の未来には、今の学問体系、産業体系は大きく変わっていくことと思います。そのときに社会の第一線で活躍するために、その変化についていくだけではなく、「自分が変えてやろう」という気持ちで分野をまたがった新しい領域を開拓していけるように、今から勉強しておいてほしいです。一つの分野を深く極めながら、ほかの分野の専門家とも協力できるように、別の分野のことも学びましょう。今から、いろいろな分野の人と話すチャレンジをしてみるのもいいと思います。

北海道大学に関心を持ったあなたは

北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。