素早い動きを撮影するには? 光の干渉を利用したイメージング
素早い動きを撮るために
科学の研究では、一般的なカメラではうまく記録できないような速い現象を扱うことがあります。この現象を撮影するためには、特別な技術や手法を開発しなければなりません。被写体が素早く動いていると、シャッタースピードが追いつかずにブレた画像になってしまうからです。そこで速い現象を撮影して画像化するためのイメージング技術の研究が始まりました。
1枚の画像に複数枚の情報を記録
手法の一つが、多重露光を利用したイメージングです。この手法では、1枚の画像内に、瞬時に撮影した複数枚の画像を重ね合わせます。つまり1枚の画像に、何枚分もの情報が詰まった状態になるのです。多重露光で撮影したデータは、画像を重ねる前の状態にも戻せます。短時間で撮影した画像を時系列順に並べて解析すれば、従来はブレていた被写体の動きを追跡できるというわけです。
解析を成功させるためには、その画像の撮影順がわかる目印を埋め込むことが重要です。そのため被写体に当てる照明のパターンをこまめに変えて目印にする方法も試されています。例えば1回の撮影の間に4パターンの光を当てて撮影すると4コマの動画になる、といったイメージです。すると、肉眼では確認できないような素早い動きを撮影できる上に、光のパターンによってその順序も記録できるのです。
無数の照明パターンを作る
コマを増やすには沢山の異なる照明パターンが必要です。そこで、光の干渉を利用した照明機器の開発が進められています。光には、複数の方向から照射されてぶつかると、干渉し合って形を変化させる性質があります。水面で複数の波がぶつかると形が変わる現象と同じです。このときできる波の形は毎回異なります。そのため2カ所以上から同時に光を当てて照射角度を少しずつずらしていけば、大量の照明パターンを作り出せます。照明パターンをさらに素早く変更できるように、機器の改良が続いています。
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先生情報 / 大学情報
関西学院大学 理学部 化学科 准教授 大間知 潤子 先生
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