「〇〇語が上手」って、どういうこと?
似た言語こそ習得が難しい?
第二言語として「習得が難しい言語」というのは気になる人も多いと思いますが、それは語学力が向上するにつれ変わっていきます。例えば英語とフランス語は、英語と日本語よりも似た言語とされています。そのためフランス人が英語を学ぶのは日本人が英語を学ぶよりも理屈でいえば簡単なはずです。しかし実際は、上級者になるにつれ細かなニュアンスでつまずくこともあるとわかっています。それは「似た形の単語なのに意味が微妙に違う」ということを習得するのが困難だからです。日本語と英語ははっきりと異なるので、英語が上級レベルの日本人はフランス人が英語を習得するような難しさを感じない場合もあるのです。
文末表現でわかる、日本語の習得レベル
言語習得の発達段階を見るため、日本への留学前後で英語母語の学生に日本語で会話をしてもらうという研究があります。注視するのはどういった文末表現を使うかです。日本語の場合、文末の表現でその人のスタンスがわかります。例えば「食べる」という動詞の場合、「食べると思う」「食べるかもしれない」「食べたい」など、文末に何をつけるかによって、話す側の意図と「どう伝えたいか」という態度が表れ、より豊かな会話のやりとりが生まれます。物事を事実として単純に伝えるだけではなく、「いかに相手に配慮しながら会話を進められるか」という部分が、留学前と後では変化します。
「〇〇語が上手」とはどういう状態なのか
語学留学を希望する人は、学ぶ言語が「上手になっている」という状態をめざしているはずです。その「上手」とはどういう状態を指すのでしょうか? ただ発音がきれいなのか、話し方が流暢なのか、「上手」にはさまざまな観点があります。しかし、自分がどういったスタンスで話しているかを相手に示せるようになり、相手の発話もうまく引き出せるようになってこそ、実際に使える言語だと言えます。自分の意見を相手に伝えられる知識や教養を持ち、話したいことを明確に持っている人こそ、海外でも活躍できるでしょう。
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ノートルダム清心女子大学 文学部 英語英文学科 教授 木津 弥佳 先生
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