犬が楽しくお留守番? 動物の行動変容を促すシステム開発

犬が楽しくお留守番? 動物の行動変容を促すシステム開発

動物に行動変容を促す

ダイエットや勉強をするとき、サボりがちな行動をゲーム感覚で変えていけるアプリがあります。運動や勉強の時間をリマインドしたり、目標達成したら褒めたりと、人間の心理に合わせて必要なサポートをすることで、「行動変容」を促すシステムです。
同じように、動物の行動変容を促すシステムの研究が進んでいます。動物の状態に合わせて自動的に環境を変えることで、適切な行動を取らせるのです。

室内犬や熱帯魚の飼育サポート

例えば犬は、本来群れで行動するため、室内で一頭だけで留守番をするとストレスからいたずらすることがあります。そこで開発が進められているのが、留守番中の犬を観察して、いたずらしそうになったら自動的にそばにあるおもちゃを動かし、犬の興味を引いていたずらを回避させる仕組みです。首輪につけたセンサで心拍数や運動量を測り、そのデータを無線通信でAIに送って状態を判断し、必要な機器を動かすシステムです。
また、熱帯魚の自動飼育システムも研究されています。水の状態をセンサで監視して、産卵を誘発するのに適切な状態にしたり、必要に応じて自動的にえさを与えたりします。特にモデル動物として実験に用いられるゼブラフィッシュは、研究機関では通常数百匹も同時に飼育されているため、その手間を減らすシステムが求められているのです。

複数の機器の協調

動物の行動変容システムの開発課題の一つは、動物の心理を推測することです。例えば、心拍数から犬が興奮していることがわかっても、それが恐怖からなのか喜びからなのかはわかりません。実用化に際しては、動物の専門家を交えた検討も必要になります。
また、システム上に使われるさまざまな機器、機能をうまく協調させることも必要です。例えばヒーターで水温を上げる必要があるときに、その熱を検知したクーラーが同時に動いてしまうと困ります。たくさんの機器をつなげるシステムでは、機器同士の「交渉」や「協調」を可能にするアルゴリズムの開発が重要なのです。

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山陽小野田市立山口東京理科大学 工学部 電気工学科 講師 山本 眞也 先生

山陽小野田市立山口東京理科大学工学部 電気工学科 講師山本 眞也 先生

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ユビキタスコンピューティング

メッセージ

私が所属する本学電気工学科では、情報系、電気系、電子系の知識が幅広く学べます。それは、これから求められる情報系の人材には、ほかの分野の知識が必要だと考えられているからです。今、どんな産業分野、研究分野でも、自動化システムやAIなどの情報技術が使われています。プログラムを作ろうとするとき、対象となる分野の知識や、センサやアクチュエータといった、つながっている機器の知識も必要なのです。ですから、情報系に興味があるなら、ぜひほかの分野でも興味のあることを見つけ、学んでください。

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山陽小野田市立山口東京理科大学は「確かな基礎教育」を掲げ、基礎学力を育成する体系的な教育を行っています。2016年4月、公立大学法人へと移行、2018年4月西日本初の公立の薬学部を設置し、工学部・薬学部の二学部体制となりました。東京理科大学の姉妹校として、基礎学力を重視した実力主義の教育を受け継ぎ、工学・薬学の専門的な学術を教育・研究するとともに、地域産業界・医療界で活躍する人材を育成します!