未利用資源をニワトリに! 安くて環境にも優しいエサの研究

良いエサを国産で
よりおいしく、安く、栄養価の高い鶏肉や鶏卵を生産するために、「良いエサ」は欠かせません。良いエサとは、タンパク質、糖質、脂質、ミネラルなどがバランスよく配合され、かつ安く安定的に手に入る飼料です。
現在は、大豆の搾りかすとトウモロコシを混ぜた飼料が主に使われていますが、どちらも輸入に頼っているため、輸送エネルギーやコストの問題とともに、世界情勢で供給量が変化してしまうリスクもあります。そこで、国内の食品廃棄物などの未利用資源を原料にした、環境に優しく、安定供給できて安価な飼料が研究されています。
食品工場の廃棄物も
例えば、大麦のぬかは通常捨てられますが、飼料として使えます。また、醸造所から廃棄される、こうじ菌のついた大麦を与えたところ、生育が良くなったという研究結果もあります。さらに、国産かんきつ類の皮をエサに混ぜて、卵に含まれるポリフェノールを増やした例もあります。肉や卵に含まれる有用な栄養素が増えると、製品としての付加価値が付くというメリットがあります。
未利用資源のほかにも、タンパク源となる昆虫や、人間の食用には適さない米など、さまざまな飼料の原料が検討されています。
糖化を抑えて肉付きよく
少ない飼料でよりたくさんの鶏肉を生産するために、ニワトリの体の仕組みの研究も行われています。
ニワトリは血糖値が人間の2~3倍高い動物です。血中のアミノ酸は、体温でブドウ糖と結合して糖化され、筋肉の原料にならなくなります。つまり、血糖値が高いと、筋肉が付きにくいと言えます。だからといってタンパク質のエサばかり与えればいいわけでなく、適切な栄養バランスでないと、かえってニワトリの健康を害することもわかっています。
そこで、糖尿病の薬となる成分をニワトリに与えたところ、糖化が抑えられて、肉の量が増えるということがわかりました。今後は、天然物から薬と同様の成分を見つけ出し、エサに添加する研究なども行われていきます。
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