住み慣れた家での生活に1対1で寄り添う看護
求められる場は、病院だけじゃない
看護師の働く場と言えば、まず「病院」を思い浮かべるかもしれません。ただし、今は入院日数が限られているため、完治していない傷や不自由さを抱えながら退院して自宅で療養する人がたくさんいます。そのため看護師が家に出向いて患者にさまざまな援助をする「訪問看護」の必要性が高まっています。例えば病院では、整形外科や小児科など振り分けられた診療科目ごとに看護師が対応しますが、訪問看護の場では0歳から100歳を超える高齢者まで、どんな病気にも対応して、基本的には1人で援助を行います。そこでは看護に関する幅広い知識だけでなく、介護保険法や難病法など患者のサービスに関わるさまざまな法律の知識も必要とされています。
限られた時間の中で
訪問看護では、まず体温や血圧などの測定をして、病気やケガに応じた症状の観察をします。薬を飲み忘れがちな高齢者であれば、薬をケースに分けて入れるなどの服薬管理をしたり、必要に応じて入浴や食事の援助をしたりすることもあります。訪問時間は30分など限られている中で、患者や家族の不安な気持ちを言葉の奥から酌み取って解決することも大切な役割です。また在宅では、看護師だけでなく、介護やリハビリなどの専門職が関わることがあり、他職種との連携という意味でも高いコミュニケーション能力が求められます。
「生活を守る」ってどういうことだろう
病院では看護師が特定の患者だけに長く援助を行うことは難しいですが、訪問看護では基本的に1対1で、訪問中はその人のためだけの時間です。あくまで生活の場なので、病気などを治すことだけではなく、例えば「お花見に行くために、まず座れるようになろう」など、その人の楽しみのための目標を共有できます。生活習慣を見直す必要がある場合も「〇〇しなければ」ではなく「今できていること」から伝えるなど、前向きに行動を変えられるような声かけをすることが大切です。患者が暮らすその家で、生活は続いていくからです。
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