「病は気から」 治療効果を高める「患者に寄り添う看護」
ストレスはいろいろな病気の元になる
ストレスは病気の原因になります。人間の体は、神経系、免疫系、内分泌系(ホルモン)がお互いに関わり合いながら働くことで健康を維持していますが、ストレスがそのバランスを崩すのです。例えば、危険を感じると交感神経が働き、ノルエピネフィリンやコルチゾールというホルモンが分泌されて、血圧や心拍数を上げたり、免疫を抑制したりと、その状況に対処します。その状態が過ぎればまた元のバランスを取り戻します。
下痢や便秘、頭痛といったよくある不調から、糖尿病、摂食障害、ニキビなど一見ストレスとは無関係に見える病気も、薬で治らないような場合は、その原因に継続的なストレスが関わっていることがあります。
ストレスって何?
では、そもそもストレスとは何でしょうか。災害など、命の危険にさらされるような状況はもちろんストレスですが、安全な日常生活にも心理的なストレスがあります。例えば「理想と現実のギャップ」です。「ダイエットしているのに痩せない」「学力が志望校に足りない」というときの嫌な気持ちも、「理想と現実のギャップ」からくるストレスです。
そのようなストレスは、誰かに話して共感してもらう、遊びで気分転換する、高過ぎる理想を修正するなどの対処法で減らすことができます。
「患者に寄り添う看護」が治療効果を高める
病気やけがは大きなストレスですが、治療中のストレス軽減は看護師の大切な役割です。何気ない会話や触れあいの中で、患者に寄り添い、リラックスさせたり希望を持たせたりします。こうした「患者に寄り添い、安心感を与える看護」が、薬や治療の効果を高めることがわかっています。
特に「痛いはずなのに平然としている」など、患者に無意識な我慢がある場合、それに気づかせることはストレスを軽減するうえで大切です。看護師の病気や薬に対する豊富な知識が、患者が感じている苦痛を想像して、寄り添う能力につながっているのです。
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京都橘大学 看護学部 看護学科 教授 松本 賢哉 先生
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