講義No.14633 看護学

「病は気から」 治療効果を高める「患者に寄り添う看護」

「病は気から」 治療効果を高める「患者に寄り添う看護」

ストレスはいろいろな病気の元になる

ストレスは病気の原因になります。人間の体は、神経系、免疫系、内分泌系(ホルモン)がお互いに関わり合いながら働くことで健康を維持していますが、ストレスがそのバランスを崩すのです。例えば、危険を感じると交感神経が働き、ノルエピネフィリンやコルチゾールというホルモンが分泌されて、血圧や心拍数を上げたり、免疫を抑制したりと、その状況に対処します。その状態が過ぎればまた元のバランスを取り戻します。
下痢や便秘、頭痛といったよくある不調から、糖尿病、摂食障害、ニキビなど一見ストレスとは無関係に見える病気も、薬で治らないような場合は、その原因に継続的なストレスが関わっていることがあります。

ストレスって何?

では、そもそもストレスとは何でしょうか。災害など、命の危険にさらされるような状況はもちろんストレスですが、安全な日常生活にも心理的なストレスがあります。例えば「理想と現実のギャップ」です。「ダイエットしているのに痩せない」「学力が志望校に足りない」というときの嫌な気持ちも、「理想と現実のギャップ」からくるストレスです。
そのようなストレスは、誰かに話して共感してもらう、遊びで気分転換する、高過ぎる理想を修正するなどの対処法で減らすことができます。

「患者に寄り添う看護」が治療効果を高める

病気やけがは大きなストレスですが、治療中のストレス軽減は看護師の大切な役割です。何気ない会話や触れあいの中で、患者に寄り添い、リラックスさせたり希望を持たせたりします。こうした「患者に寄り添い、安心感を与える看護」が、薬や治療の効果を高めることがわかっています。
特に「痛いはずなのに平然としている」など、患者に無意識な我慢がある場合、それに気づかせることはストレスを軽減するうえで大切です。看護師の病気や薬に対する豊富な知識が、患者が感じている苦痛を想像して、寄り添う能力につながっているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

京都橘大学 看護学部 看護学科 教授 松本 賢哉 先生

京都橘大学 看護学部 看護学科 教授 松本 賢哉 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

精神看護学、在宅看護、老年看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

看護師といえば、白衣を着て注射をするとか、手術のサポートをするとか、「医療技術を持った人」というイメージではないでしょうか。しかし、そうした技術と同等かそれ以上に大切なのが、さまざまな人生を送っている患者一人一人を理解して寄り添うことです。目立たないかもしれませんが、看護師のさりげない心理的なサポートによって、治療効果が高まるのです。人間味豊かで、「この人は何に苦しんでいるのだろう」と想像できて、人が好きというタイプならば、ぜひ看護の道を志してほしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

京都橘大学に関心を持ったあなたは

京都橘大学は、「自立」「共生」、実践的な教育をめざす「臨床の知」を教学理念に掲げる総合大学です。
2021年4月には、国際・人文・教育・社会・医療系に工学系の学びを加え、さらに2023年4月には総合心理学部を開設し、9学部15学科の文理多彩な総合大学へ進化しました。一拠点総合大学の強みをさらに発展させ、さまざまな夢をもつ多くの仲間と出会い、新時代に対応できる力を養います。
京都・山科の緑豊かな自然を背景に、オレンジタイルで統一された瀟洒(しょうしゃ)な学舎が、豊かな学びの空間を演出しています。