「子どもの社会的孤立」解消のため、つながりを創出する

「子どもの社会的孤立」解消のため、つながりを創出する

経済的問題だけではない

現在「子どもの貧困」に注目が集まっています。貧困には「社会的に不利な状況に立たされている」という意味が含まれ、家族や学習機会、地域とのつながりなどが薄くなってしまっていることが問題視されています。その解決のために、子どもが自由に気軽に立ち寄れる場所が必要とされており、子ども食堂や学習支援の場、その他多様な地域の居場所が数多く実践されるようになりました。このような実践が行われると同時に、子ども支援の研究も着々と進んでいます。

社会的構造を変え、孤立を防ぐ

いわゆる貧困家庭にいる子どもは11~12%となっており、なかでもひとり親世帯は約半数が貧困家庭であるというデータがあります。この率の高さが示されたことで、貧困には「自己責任」で片付けられない問題があるとの認識が社会全体に広がったのです。例えば親の都合で進学機会が失われると、子どもの将来に影響することがあり、抜け出せない負の連鎖が発生してしまいます。こういった状況にある家庭は人とのつながりが弱く、親も子どもも社会から孤立しがちになっているのです。そのため、先に述べた子ども支援の実践が盛んに行われ、何らかの問題を抱えた家庭と地域とのつながりを創出するといった流れが生まれました。

居場所があれば、人は変われる?

子ども支援の研究では、実践場面を丁寧に観察し、客観的なデータを取ることが必要です。そして、さまざまな形で取り組まれる子どもの居場所の運営方法、その場を利用する子どもの変化などを検証し、地域の人にも周知していこうとしています。居場所によく訪れる子どもは、そこに安心感を覚えるとともに自己肯定感が高まり、何かにチャレンジしたいという意欲も生まれていくと予測されています。今はその学問的な証明が待たれています。それが実証されれば、現在社会的に不利な状況にある親や子どもが救われて、負の連鎖も断ち切ることができるかもしれません。居場所実践は、社会的課題の解決という大きな意味も備えた活動と言えるのです。

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関西国際大学 教育学部 教育福祉学科 講師 尾崎 慶太 先生

関西国際大学 教育学部 教育福祉学科 講師 尾崎 慶太 先生

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児童福祉学

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メッセージ

子どもといえば、保育園や学校を連想する高校生は多いと思います。間違ってはいませんが、家庭や地域からの影響も大きいのが現実です。近年はいじめ、不登校を含めて学校が苦手という子どももいるため、彼らの受け皿となる場所が必要です。そこには学校とは違う一面があり、子どものありのままを受け止めることができる居場所が大事になります。このように、教育とは少し異なるアプローチで子どもの福祉を考えてみたいなら、今からいろいろな体験をして、他者に対する想像力を養っておいてください。

先生への質問

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関西国際大学の特色は、確かなる「教育力」。教室内での学びは勿論、体験を通じて成長を実感できる学びのシステムがあります。「グローバルスタディ」では海外体験や学修の機会を豊富に設けています。また、「サービスラーニング」では地域貢献活動を通じて、活動の“振り返り”を重視しながら体験と知識を総合化することを学びます。何を学んだかでなく「何ができるようになったか」、一人ひとりがまず体験して、気づき、学び、夢に向かって輝いていく。確かな未来をつかむために4年間「ワクワクドキドキの体験」をはじめてみませんか。