すべての教育現場の根底に通じる特別支援教育の考え方
診断に当てはまらない子どもが増えている
「特別支援教育」とは、発達障がいや、通常の学級における“配慮の必要な”児童・生徒たちの特性を理解し、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導・支援を行うことを言います。配慮の必要な児童・生徒とは、どのような子どもでしょうか。自閉症や多動性障がい、学習障がいなどと診断される子どもの場合や、最近はそういう診断に当てはまりにくい子どもが増えているのです。授業中に走り回る子ども、読み書きの苦手な子ども、会話が成り立たない子ども、極端に不器用な子ども、学校に来られない子どもなどに、従来の障がい児教育で培ったアプローチも含めて、具体的にどんな支援ができるのかを考えるのが、特別支援教育です。
目に見える行動だけで判断しない
大切なのは、目に見える行動だけで判断しないこと、行動の裏に隠れている子どもたちの心や脳の状態(=特性)を理解することです。例えば、いつも一人でいる子どもなら、「この子が一人でいる理由は何だろう?」と考えます。もしかしたら集団の中にいると、頭が痛くなるのかもしれません。ザワザワしている所では人の声がよく聞き取れないのかもしれません。そういったことを理解していれば、仲間に入ることを無理強いせず、こちらから寄り添って声をかけてあげるという方法が取れるわけです。知らないでいると、「コイツ変なヤツ!」となってしまいます。一人ひとりの心や、置かれている状態を理解することは、その子どもの支援を考える上で欠かせません。
教師をめざす人に必要な分野
特別支援教育は、このようにさまざまな子どもを対象とする非常に幅広い分野です。勉強嫌いや運動嫌いという子どもになったのは、教師がそれぞれの状態を理解せず、適切な支援ができなかったことも原因の一つにあげられます。現在、教職課程において特別支援教育を学ぶことは必須ではありませんが、すべての教育現場の根底に通じる学問です。教師や保育士をめざす人にとって、とても重要な分野だと言えるでしょう。
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