体育の授業力向上を研究する
授業を受けたくない子どもたち
学校で体育の授業を受ける児童・生徒には、運動が好きでうまくなりたいと考えている積極的な子どもだけでなく、運動に苦手意識がある消極的な子どももいます。体育の授業では、苦手な運動でも実際に体を動かさなければなりませんから、そういった子たちも楽しく授業に取り組める手立てを教師が考える必要があります。
どの子にも学びがいのある体育授業を
学校は人間の多様性を尊重し、障がいの有無などに関わらず、さまざまな違いのある子どもが共に学ぶところです。体育の授業で実践する場合、球技のチームなどで力の差が大きくなることも考えられます。その時、公式のルールのまま行えば、力の差を埋められません。学校現場で扱うスポーツは公式のルールを守らなければならないわけではないので、この問題を解決するためには、それぞれが力を発揮して楽しめるルールを子どもたちに作り出させることが大切です。子どもたちが自ら問題を解決することにより、学習の意欲が高まります。
体育授業のエビデンス
授業の改善や授業力の向上には、感覚的な指摘ではなく、根拠(エビデンス)に基づいた研究が必要です。量的なデータは生徒に対する授業のアンケート調査です。単元の最初と最後に同じ質問のアンケートをすることで、子どもがその授業に対してどのような変化があったかを考察します。加えて、授業の内容を学習指導、実際の運動、子どもたちの考える時間、準備片付けの4項目に分け、10秒刻みでシートに記録します。これにより、実際の運動時間が何割だったかなど、授業の内容を数値で把握できます。これら量的な証拠に加え、授業を見て文章化するといった質的な根拠も大切です。観察者が授業を見て時系列で記録を取り、発言の意図や、生徒の様子などを細かくフィードバックします。
教員はさまざまな問題に直面し、戸惑いを覚えることも少なくありません。採用されたばかりの教員の授業力向上や資質能力向上のための研究が重要です。
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先生情報 / 大学情報
白鴎大学 教育学部 発達科学科 スポーツ健康専攻 教授 内田 雄三 先生
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