日本語と韓国語の共通点を方言レベルで見てみよう

似ているところが多い日本語と韓国語・朝鮮語
日本語と韓国語・朝鮮語は、文法構造がよく似ています。両言語とも主語→目的語→動詞(SOV)の語順をとり、助詞を使って文の要素の関係を示します。また、敬語体系をもつ点も似ており、謙譲語、尊敬語といった複雑な敬語の使い分けが存在します。さらに、日本も朝鮮半島も漢字文化圏であるため、漢字語由来の語彙(ごい)が多いという点も似ています。
標準語だけ見ていてはわからない共通点
日本語と韓国語を比較する際、現在の標準語では同じではないものの、方言や古語で比べると同じ表現をする文法もあります。例えば、群馬県の方言では「探す」と「見つける」という動詞が1つになっていて、「探す」の意味で「見つける」を使い、「見つけて(探して)たけど見つからない」というふうに使います。韓国語でもこの2つの動詞は1つの単語で表現されるのです。また、群馬県では「家に帰る」を「家に行ってみる」と表現しますが、韓国語でも同様に「家に行ってみる」と表現することがあります。古語との関連では、同類の複数を表す「~ども」という接尾辞が挙げられます。現代日本語の接尾辞「~たち」は人や生物に使いますが、古語の「ども」は物にも使うという点で韓国語と共通しています。
方言・古語との対照研究がもたらす新たな視点
日本語と韓国語を対照する研究は、まだ歴史の浅い分野です。その中でも、対照されるのは実用的な標準語が中心で、方言や古語はほとんど手つかずの状態でした。そもそも方言に関しては、日本語や韓国語の方言を言語学的に研究すること自体、歴史の浅い分野です。方言は日常の中で使う話し言葉であるため文献には残りにくく、中には消滅の危機にあるものもあります。いまその記録と研究を行うことは、言語学的にも重要な意味をもっています。失われつつある方言を収集・記録しながら分析することで、標準語同士の比較だけではわからない両言語の関係をより深く理解することにつながるでしょう。
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