仲間と共に夢中になって運動しながら多様な動きをつくる体つくり運動
「さんま」の減少
現在の子どもには「3間(さんま)」が減少していると言われています。時間・空間・仲間の3つです。放課後に習い事などの予定が多く、公園や空き地にはボール遊び禁止などの遊びの制約が増え、それぞれの予定があるため遊べる仲間も少なくなっています。その結果、これまでは遊びの中で自然と育まれていった、多様な動きや人間関係が身に付いていないという現状が報告されています。それを受けて、保育園・幼稚園の戸外遊びや小学校の体育の授業(体つくり運動)は、子どもがいろいろな運動を経験したり仲間と進んで交流したりすることを大切にしています。
楽しくて続けたい運動
新学習指導要領では「豊かなスポーツライフの実現」が体育の重要な目標です。持久力を高めるために授業の間ずっと走らせたら、体力はついても、運動嫌いになってしまう可能性があります。そうではなく、楽しみながら運動に取り組めることが大切です。年齢や性別、運動の得手不得手や障害の有無等に関わらず、仲間と共に思いっきり体を動かすと気持ちがいいと感じることで、体と心はつながっていると理解し、継続した運動につなげられるのです。運動が苦手な子どもでも、夢中になって運動を楽しんでいたら、いつの間にか多様な動きが身に付いたというのが理想です。
音楽を活用した運動
誰もが安心して仲間と共に運動を楽しむために、音楽に合わせてやさしい運動を次々に行う方法があります。子どもたちが親しみやすい曲の、この部分にはこの運動というような決まり事をつくります。例えば、曲が始まって20秒間は、2人組になってジャンケンをし、負けた人は勝った人の周りをぐるりと走って戻ってくる。曲のサビの間は、クラス全員で平均台に乗って落ちないようにするという具合です。特別な運動技能は必要ないので、運動への苦手意識を助長せず、みんなで取り組む仲間意識も育まれます。このような実践案は、実際に子どもたちに経験してもらい、感想やアンケート結果を検証することで、よりよい保育・授業づくりにつなげていきます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
広島女学院大学 人間生活学部 児童教育学科 准教授 紀村 修一 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
教育学、教育方法学、体育科教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?