講義No.14257 看護学

がん治療後のむくみで悩む人の力になりたい!

がん治療後のむくみで悩む人の力になりたい!

見逃せない! がん治療後のリンパ浮腫

「リンパ浮腫」とは、リンパの流れが阻害されるために生じる、むくみの症状です。乳がん、子宮がん、大腸がんなどの治療によるリンパ節などへの障害で発症することがあり、発症すると完全に治癒することはありません。リンパ浮腫を放置しておくと、皮膚が硬くなったり、炎症を起こしたりして、生活への支障が大きくなるため、適切な治療・ケアの継続が必要です。リンパ浮腫の方々が、安全・安心・快適に暮らせる社会にするために、看護科学が大きな力を発揮しています。

暑さによる問題を解決 夏用弾性ストッキング開発

リンパ浮腫の治療に「弾性ストッキング」があります。弾性ストッキングは、厚手の生地で皮膚を圧迫する構造の医療機器です。暑い季節には弾性ストッキングをはき続けることが困難という問題があったことから、接触冷感性を持つ生地を使った弾性ストッキングが産学連携のプロジェクトで開発されました。
夏には涼やかな服装をすることが多く、弾性ストッキングが他者から見える機会が増えます。その点もふまえて、ファッションデザイン学の専門家と協働してデザインされた涼しくてファッション性のある弾性ストッキングは、グッドデザイン賞なども受賞し、注目されています。

リンパ浮腫の可視化で看護ケアが変わる!

リンパ浮腫の評価は、視診、触診といった、外観評価が主です。しかし、リンパという液体が真皮や皮下組織にたまって少しずつ構造が変化していて、外観に現れないことがあります。そのため、真皮や皮下組織をリアルタイムに観察できる方法が求められていました。そこで、超音波(エコー)検査が着目され、リンパ浮腫には特徴的な所見があることが分かりました。エコーはリンパ浮腫の新評価方法となり、今では小型エコーを白衣のポケットに入れて評価できるようになりました。また、この方法を、高齢化の進んだ地域や、震災後の被災地などでも遠隔で評価して、専門家がケアを提案できるというような遠隔ケアにも応用されてきています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

石川県立看護大学 看護学部 看護学科 老年看護学講座 教授 臺 美佐子 先生

石川県立看護大学 看護学部 看護学科 老年看護学講座 教授 臺 美佐子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

がん看護学、成人看護学、看護理工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は、がん看護学を専門に教育・研究・地域貢献活動を行っています。特に、がんの治療後に発症しやすいリンパ浮腫に悩む人々の暮らしをより良くするために、DX活用・産学連携・国際連携で取り組んでいます。。看護学は、患者さんや医療従事者の声から気づいた問題に対して、体内の仕組みを可視化したり、新たな技術を開発したりしながら解決し、世界へ発信していく、そして、目の前の患者さんに還元することができます。あなたには、ぜひ、夢と使命感をもって、看護学を勉強してもらいたいと思っています。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

石川県立看護大学に関心を持ったあなたは

石川県立看護大学はこれからの看護職、看護研究者を育成するために、1.DXの推進2.国際的な視点での看護3.産学連携の推進4.防災や災害時の対応に関する教育・研究の充実の4点を、特に重要と考え強化を進めています。
本学は看護師・保健師のダブルライセンス受験資格を取得できる全国的にも数少ないカリキュラムを実施しているほか、学生一人当たりの教員数も北陸地区の看護系大学では最大級であり、なりたい自分をサポートする環境が整っています。ぜひ一緒に本学で学びましょう。