がん治療後のむくみで悩む人の力になりたい!
見逃せない! がん治療後のリンパ浮腫
「リンパ浮腫」とは、リンパの流れが阻害されるために生じる、むくみの症状です。乳がん、子宮がん、大腸がんなどの治療によるリンパ節などへの障害で発症することがあり、発症すると完全に治癒することはありません。リンパ浮腫を放置しておくと、皮膚が硬くなったり、炎症を起こしたりして、生活への支障が大きくなるため、適切な治療・ケアの継続が必要です。リンパ浮腫の方々が、安全・安心・快適に暮らせる社会にするために、看護科学が大きな力を発揮しています。
暑さによる問題を解決 夏用弾性ストッキング開発
リンパ浮腫の治療に「弾性ストッキング」があります。弾性ストッキングは、厚手の生地で皮膚を圧迫する構造の医療機器です。暑い季節には弾性ストッキングをはき続けることが困難という問題があったことから、接触冷感性を持つ生地を使った弾性ストッキングが産学連携のプロジェクトで開発されました。
夏には涼やかな服装をすることが多く、弾性ストッキングが他者から見える機会が増えます。その点もふまえて、ファッションデザイン学の専門家と協働してデザインされた涼しくてファッション性のある弾性ストッキングは、グッドデザイン賞なども受賞し、注目されています。
リンパ浮腫の可視化で看護ケアが変わる!
リンパ浮腫の評価は、視診、触診といった、外観評価が主です。しかし、リンパという液体が真皮や皮下組織にたまって少しずつ構造が変化していて、外観に現れないことがあります。そのため、真皮や皮下組織をリアルタイムに観察できる方法が求められていました。そこで、超音波(エコー)検査が着目され、リンパ浮腫には特徴的な所見があることが分かりました。エコーはリンパ浮腫の新評価方法となり、今では小型エコーを白衣のポケットに入れて評価できるようになりました。また、この方法を、高齢化の進んだ地域や、震災後の被災地などでも遠隔で評価して、専門家がケアを提案できるというような遠隔ケアにも応用されてきています。
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先生情報 / 大学情報
石川県立看護大学 看護学部 看護学科 老年看護学講座 教授 臺 美佐子 先生
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