数学が役に立たないものはない
数千万の戦いから生まれた最強のプレイヤー
人工知能の一分野として始まったコンピュータゲームは着実な進化を続けており、オセロのようなゲームでは、人間がコンピュータ相手に勝つことはほぼ不可能になりました。チェスも同様で、90年代後半にはチェスの世界チャンピオンがコンピュータに負けたことがニュースとなり、2012年、将棋でも男性プロ棋士がコンピュータに敗北しました。
どうして数ある手からコンピュータがより有利な一手を選ぶことができるかというと、統計学に基づいているからです。コンピュータ同士で自動的に対局を繰り返させ、得られた何千万もの対局のデータに基づいて、より勝率の高い手を推測、選択しているのです。
ビジネスに利用される統計学
統計学はゲームだけのものではなく、ビジネスにおいても効率の良さを求める場面ではよく利用されます。例えば、コンビニでどの種類のおにぎりをいくつ入荷させるかを考えるには、過去の売上のデータに基づいて、最大の収益を出す入荷量を計算すれば、人間が経験に基づいて入荷量を決めるよりも、精密な決定が可能です。また、全国展開で洋服を廉価に販売している店では、少ない種類で大量生産したほうが、コストが安くすみます。品揃えの数を限定したときに、どのような服を揃えれば、顧客のニーズを最も広くカバーできるかなどを決める際にも、統計学が利用されます。
いかに効率的に勝つか
このような手法は、もともとは第二次世界大戦に始まりました。限られた物資でさまざまな作戦を展開するには、いかに物資を投入せずに勝つかが重要でした。そこで統計学が利用されたのです。
「数学なんて何の役に立つのか」と聞かれることがありますが、数学が役に立たないものはありません。近年、ビジネスにおける効率を上げるための統計学の利用がますます進んでいます。この流れは今後も多くの分野で進んでいくものと考えられます。
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