子どもの虫捕り遊びの中に隠れている先生の計画とは?
先生は遊びのプランナー?
幼稚園・保育園・こども園では、虫捕りのような遊びを毎日します。しかし、ただ遊ぶのではなく、子どもをどう指導していくかの計画を先生が立てています。例えば、「虫捕り道具の貸し借りがちゃんとできるか」「友だちと仲良く遊べるか」など、子どもの学びを考えながら、必要な虫捕り網、虫かごなどの道具を準備します。さらにケンカやケガ、仲間はずれなどのトラブルを予想し、「どう援助するか」「どう言葉がけをするか」を考えておくのです。この指導計画は、先生によって幾通りも考えることができます。もし、「命の大切さ」を伝えたいと考える先生なら、同じ虫捕り遊びでも、図鑑や虫めがねを用意して、捕らえた虫を飼育する計画を立てるかもしれません。
変化してきた指導計画
この指導計画は1956年頃から導入されましたが、以前はもっと違った内容でした。幼稚園や保育園を小学校の予備段階としてとらえて、国語・算数・理科・社会・図工・体育の6領域で早期教育のような時間割を作っていたのです。しかし、その内容では子どもがどうしても受け身になりやすく、この時期の発達に必要な自発的な学びや経験ができないと考えられるようになりました。そこで平成に入る頃には、「子ども中心」の指導計画がすすめられ、計画書に「子どもに〇〇させる」といった文言を入れないように変わってきたのです。
子ども中心の計画を立てる、とはいうけれど
現在、保育の現場では、指導計画書に「子どもに〇〇させる」という文言が入っていないかを厳しくチェックしています。それでも、指導内容について本当に「子ども中心」で考えられているかといえば、疑問も残ります。もちろん、どの先生も子どものことを大切に思う気持ちに変わりはありません。しかし、忙しさもあり、つい同じような計画を立ててしまいがちです。現代の子どもが置かれた状況をよく把握し、なぜそれをするのかをよく考え、本当に必要な指導を計画することが求められています。
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至学館大学 健康科学部 こども健康・教育学科 准教授 金森 由華 先生
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