デジタル化や国際化を受けて、変化を続けるアニメづくり
アニメづくりの工程
アニメーションは、今や日本を代表するサブカルチャーとして世界中から認知され、大きな市場をもっています。日本でつくられるアニメーションは「ジャパニメーション」と呼ばれており、海外から日本にアニメーションづくりを学びに来る人も増えています。アニメーション制作には、イメージしやすい作画や声優の声当て以外にも、企画やシナリオづくり、撮影や音響、編集といった多数の工程が存在します。多くの人が専門性を発揮して互いに協力しあうことで、クオリティを高めます。
デジタル化の進展
近年のアニメーションづくりは、デジタル技術の発展によって大きく様変わりしました。専用のソフトウエアを使うことで、キャラクターや背景を描いたり、着色したり、できあがった素材を仲間と共有するといったことが大幅に効率化されました。一方で昔ながらのアナログの良さ、特に生き生きとした線を描くという点ではデジタルにも課題があります。またデジタル化によって映像のクオリティが圧倒的に上がったことで、アニメーションづくりの手間はあまり軽減されていないという側面もあります。
技術・人の変化に合わせて
アニメーション制作の教育課程においても、大きな変化が表れています。「デジタルネイティブ」と呼ばれる若い人たちは、アナログよりもデジタルを使った技術に興味を示し、また主題においても、SF・フィクション作品よりも、自分たちが過ごした高校時代、あるいはトランスジェンダーのような現代的なテーマを描きたがる傾向が見られます。アニメーションを学ぶ海外留学生に対しても、業界独特の専門用語やカタカナ英語を翻訳するといった配慮も求められるようになっています。
世界的な人気を博しながらも、アニメーションづくりの理論はまだ確立されているとは言えません。技術や人の変化に合わせながら、制作の実態や教育のプロセスを記録・分析する研究は、アニメーションという文化の奥深さを広めて、さらに発展させることにもつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
宝塚大学 東京メディア芸術学部 メディア芸術学科 助教 川上 遥 先生
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