悩む保護者へ贈る、海外発の子育て支援プログラム

悩む保護者へ贈る、海外発の子育て支援プログラム

子育てにもスキルがある?

子どもとの関わり方に悩む保護者のために、海外ではさまざまな親支援(ペアレンティング)プログラムが活用されています。オーストラリア発の「前向き子育てトリプルP(Positive Parenting Program)」では、子育てに必要なスキルを紹介し、保護者が実践できるよう応援します。例えば子どもを褒める時、「えらいね」と曖昧に褒めるのではなく、「自分で靴が履けたね、えらいね」と具体的に褒めることがポイントだとしています。また子どもと一緒にルールを決めたり、そのルールが守れたらハグをするなどのご褒美を用意することも大切だとしています。

「じっとしていられない」理由とは

特に保護者が戸惑うのが、「落ち着くことができずに動き回る」など、不適切と感じてしまう子どもの行動です。悩む保護者も、なぜ我が子がそういう行動をとるかを理解することで、子どもの見方、関わり方は変わっていきます。子どもがじっとしていられないのは、外部の刺激に対して反応が弱いために、さらに刺激を得ようとして動いているのかもしれません。このように保護者は、子どもの行動の理由がつかめることで、客観的に子どもを見て、冷静に対応できるようになるでしょう。

親が変われば、子どもも変わる

この子育て支援プログラムでは、子どもグループは遊び中心の活動をしている一方で、保護者グループは子どもの様子を撮影した動画を別室で見ながら、子どもの行動の理由を学び、子どもに対する関わり方について学びます。保護者に対して「こうしなさい」と一方的に枠にはめるのではなく、その親子に合った方法を考えていく点も、このプログロムの長所です。実際にこれまで参加した子どもの発達検査(言語・社会性の面、認知・適応の面)の数値が向上しました。この成果は、保護者の関わり方が変化した点が大きいと推測できます。親が変われば、子どもも変わるのです。そして心理士、保育者、教育者は、そのお手伝いをすることができます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

茨城キリスト教大学 文学部 児童教育学科 教授 中島 美那子 先生

茨城キリスト教大学文学部 児童教育学科 教授中島 美那子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

発達心理学、臨床心理学、保育臨床学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は、発達に偏りがあったりでこぼこがあったりするお子さんやその保護者の支援について研究をしています。
あなたに伝えたいのは、これからますます多様性社会となる中で、これまで当たり前だと思っていたことが通じない経験をたくさんすると思います。そんなとき、物事を自分の枠に当てはめずに見たり考えたりすると、未来の可能性が広がるということです。私のやっている他者に対する援助や支援の視点も、まさに枠に当てはめないことが大切となります。
高校生の今、ぜひいろいろなことに興味を持って、何でも楽しんでみてください。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

茨城キリスト教大学に関心を持ったあなたは

茨城キリスト教大学は、文、生活科、看護、経営、未来教養学環の4学部1学環からなる総合大学です。全学部が集まる「ワンキャンパス」は、常磐線大甕(おおみか)駅から徒歩1分の好立地にあります。地域連携や国際交流が盛んで、「学生プロジェクト」では日立市と連携し、まちづくりなどをテーマに調査・研究を行い、その成果を発表。提案が市の施策として検討されることもあります。また、留学生をサポートする「バディシステム」や、日常的に英語に触れることができる「チャットアワー」を通じて、“話せる英語力”を身につけます。