座ったままで筋トレ!? 安全で効果の高い筋トレやストレッチの開発
大きなケガからスポーツ復帰をめざす筋トレの開発
スポーツでよくみられる、ひざの大けがである前十字靱帯(じんたい)損傷や半月板損傷では、手術の後に太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が弱くなります。しかし、回復しはじめたばかりのひざを守りながらの筋トレは簡単ではありません。
そこで開発された「ハーフシッティングエクササイズ」は、お尻の半分だけで椅子に座って行う筋トレです。モーションキャプチャ、床反力計、筋電図を使った動作解析では、ハーフシッティングエクササイズはスクワットよりもひざへの負担は小さいのに、大腿四頭筋は強く活動することが分かっています。つまり、座ったままで安全に効果的な筋トレができるのです。
ケガの予防に役立つ筋トレやロボットの開発
脚をまげるとひざが内に入る「knee-in(ニーイン)」は、前十字靭帯損傷の発生リスクが高い姿勢です。このため、ケガの予防や手術後のリハビリではニーインの修正が大切です。
そこで開発された「抵抗レッグリーチ」は、片脚スクワットをしながら、もう一方の脚を開く動きに抵抗をかける筋トレです。その動作解析では、抵抗をかけないよりも抵抗をかける方がニーインが修正されるというバイオメカニクスが分かっています。さらに発展して、「医学×工学」の力で抵抗レッグリーチを効果的に行うロボットも開発されています。
ケガを予防するストレッチ
スポーツの繰り返しで、ひざの前が痛くなるケガがあります。そのリハビリでは大腿四頭筋をストレッチでやわらかくすることが大切ですが、一般的な、ひざを深くまげるストレッチは痛くてできないことも少なくありません。
そこで、姿勢や関節をまげる順番を工夫して、ひざを深くまげずに大腿四頭筋をストレッチできる方法が提案されました。この方法は、超音波で筋肉の硬さをはかる研究で裏づけられました。
このような安全で効果の高いトレーニングはスポーツリハビリにとどまらず、全ての人の日々の運動や高齢者の介護予防への応用が期待されています。
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先生情報 / 大学情報
大阪電気通信大学 医療健康科学部 理学療法学科※2025年4月より健康情報学部 理学療法学専攻に改組 教授 木村 佳記 先生
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スポーツ理学療法学、バイオメカニクス先生が目指すSDGs
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