「心」は人間だけのもの? 「心」はどこにあるの?
動物に心はあるのだろうか?
動物に心があるかどうかは昔から大きなテーマとされています。犬や猫をペットとして飼っている人に尋ねると、多くの人が「私が帰ってくるとうれしそうに尻尾を振っている。だから心はある」と答えます。でも、尻尾を振る行為が、うれしさの表現かどうかを確かめるのは容易ではありません。
子どもの中には、悲しい時にお気に入りのぬいぐるみに話しかけて元気になったり、一緒でないと外出できない子どももいます。子どもにとってぬいぐるみは、人間以上の心をもっているものだとも考えられます。あえて動物やぬいぐるみと人間の違いがあるとすれば、言葉を使うかどうかではないでしょうか。
赤ちゃんも心で訴えかけている?
「人間は言葉を使う」と言いましたが、生まれたばかりの赤ちゃんは言葉を使うことができません。お父さんやお母さんは、赤ちゃんの仕草や泣き声から「おなかがすいている」「おむつを換えてほしい」などを読み取っていますが、これも実際のところはわかりません。ただし人の仕草や言葉、表情を手がかりに推測を行うことが、相手のことを理解するための手段であり、それが心の働きなら、赤ちゃんにも心が存在します。事実、発達心理学の研究では、生まれて数カ月の赤ちゃんも人の顔を区別したり、音を聞き分けたりすることがわかっています。
あなたと私の間に、心がある
次に「心はどこにあるのか」という問題があります。「心はバラ色」という表現がありますが、どこの何に色が付いているのかと考えると難しくなってしまいます。それは心は「モノ」であるという前提に立っているからです。心は「脳のはたらきの一部」だと考えると、ずっと合理的です。例えばテレビを動かすリモコンのようなものです。ふたを開ければ中の部品は見られるものの、そのはたらき自体は見えません。
また、お父さん・お母さんと赤ちゃんの関係で言えば、心はお互いが関わり合った時に生まれ、両者が共有する存在であると考えることもできます。
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先生情報 / 大学情報
皇學館大学 文学部 コミュニケーション学科 教授 芳賀 康朗 先生
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