これはパクリじゃない? 法が守る「形無いモノ」の権利
知的財産法
法律の世界には、不動産や金品といった形のあるモノだけでなく、「情報」という形のないモノの権利を規定する法律があります。例えば他人の本に書かれている表現を無断で使うと著作権の侵害になりますし、他社の特許製品の技術的アイデアを自社製品に組み込むと特許権の侵害になります。また、商標登録された商品名を勝手に使うと商標権の侵害になります。こうした権利に関する法律として、著作権法、特許法、商標法、不正競争防止法など異なる法律があり、こういった法律全体の総称が「知的財産法」です。
著作権
知的財産権の一つである著作権は、著作物がつくられた瞬間に発生しますし、その作品には高度な芸術性は必要ありません。例えば幼稚園児が描いた絵にも著作権が発生しますから、無断で幼稚園のパンフレットの表紙に使用すれば著作権侵害になります。もっとも、他人が偶然同じような絵を描いた場合は著作権侵害にはなりませんし、その同じような絵には別個の著作権が発生します。あくまでも、著作物のコピー(複製)を禁止するのが著作権法です。
特許権・商標権
特許権は技術的アイデアに関する権利であり、世の中の多くの製品には特許があります。ただし、この特許権は20年で切れるのが原則であり、特許権が消滅したあとは誰でも自由にその技術を使うことができます。権利消滅後は、特許技術が社会の共有財産になるわけです。一方、商標権は商品名や図形マークに関する権利です。商標登録されたⓇの商品名を他社が勝手に使うと商標権侵害になります。まったく同じ商品名だけでなく、よく似た類似商標を使っても権利侵害になります。
多くの企業は、日々、特許や商標を特許庁に申請しており、知的財産をビジネス戦略に役立てています。近年では国内だけでなく、海外企業との競争が激化しており、特許や商標といった「目に見えないモノ」の価値は、ますます高まり続けているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
大阪経済大学 経営学部 ビジネス法学科 教授 眞島 宏明 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
商標法、ブランド・マネジメント先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?