講義No.14612 教育

センス? 知識? 輝く子どもを育む「良い先生」の研究

センス? 知識? 輝く子どもを育む「良い先生」の研究

「良い先生」とは

教師にとって、教育学的に重視される学習内容を授業の中で正確に実践することは非常に大切です。一方、一般的に「良い先生」と言われる教師は、それとは異なる能力も備えています。例えば毎回決まりきった授業を展開するのではなく、まるで舞台に立つお笑い芸人のように、子どもたちの様子を観察して、それに合わせて学習内容を調整し、学習効果を高めるといった力もその一つです。教育学においては、こうした「良い先生」がもつ専門性や技術についての研究が行われています。

子どもへのアプローチ

研究の過程で、「良い先生」には、規定の教材を子どもに理解させるよりも、子どもが今何を考えて、何を欲しているのかをつかみ、それに対して必要なことを実践するという傾向が見えてきました。例えば、自分で何かを学ぼうとしている子どもに対して、まずその子どもにやる気があるのか、アドバイスを求める・嫌がるタイプなのかを「見極め(履歴の蓄積)」ます。次に今何を考えて、何につまずいているのかを子どもの立場に立って「考え(アセスメント)」、どういう知識やヒントが必用なのかを「予測(フィードフォワード)」します。こうしたプロセスを踏まえた上で、声をかける、あるいはあえて見守るといった適切なアプローチを行っているのです。

より良い学習環境をつくる

従来の教育は、社会にある「正しさ」や「確か」らしさに適応できる子どもを育てることだったと言えます。それが現在の学校教育では、より子どもの主体的な学び、つまり一人一人が興味関心やテーマをもち、それについて学びを深める子どもたちをいかに支えるかが重視されています。教師においても、子どもの様子を敏感に感じ取り、きめ細かく反応していくことが求められます。これまで注目されてこなかったこれらの専門性の価値を認めて、そうした力をもった教師を育てていくことが、一人一人の子どもが輝き、成長していく学校、学習環境をつくることにつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

玉川大学 教育学部 教育学科 講師 久保 賢太郎 先生

玉川大学 教育学部 教育学科 講師 久保 賢太郎 先生

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教育方法学、教育社会学、体育科教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

教師をしていると、自分の狙いと子どもの反応にズレが生じることがあります。これを失敗とするなら、失敗をポジティブにとらえられるかどうかは、その先生が抱えているビジョンに左右されます。例えば子どもたち一人一人がテーマに没頭する授業をつくりたいという思いがあれば、「もっとこうすればよかったのか」と次に生かせるでしょう。子どもを型にはめるのではなく、夢中になっている状態を「面白い」と感じて、そうした授業ができるように学び続けられる教師を、ぜひめざしてほしいです。

玉川大学に関心を持ったあなたは

―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。