センス? 知識? 輝く子どもを育む「良い先生」の研究
「良い先生」とは
教師にとって、教育学的に重視される学習内容を授業の中で正確に実践することは非常に大切です。一方、一般的に「良い先生」と言われる教師は、それとは異なる能力も備えています。例えば毎回決まりきった授業を展開するのではなく、まるで舞台に立つお笑い芸人のように、子どもたちの様子を観察して、それに合わせて学習内容を調整し、学習効果を高めるといった力もその一つです。教育学においては、こうした「良い先生」がもつ専門性や技術についての研究が行われています。
子どもへのアプローチ
研究の過程で、「良い先生」には、規定の教材を子どもに理解させるよりも、子どもが今何を考えて、何を欲しているのかをつかみ、それに対して必要なことを実践するという傾向が見えてきました。例えば、自分で何かを学ぼうとしている子どもに対して、まずその子どもにやる気があるのか、アドバイスを求める・嫌がるタイプなのかを「見極め(履歴の蓄積)」ます。次に今何を考えて、何につまずいているのかを子どもの立場に立って「考え(アセスメント)」、どういう知識やヒントが必用なのかを「予測(フィードフォワード)」します。こうしたプロセスを踏まえた上で、声をかける、あるいはあえて見守るといった適切なアプローチを行っているのです。
より良い学習環境をつくる
従来の教育は、社会にある「正しさ」や「確か」らしさに適応できる子どもを育てることだったと言えます。それが現在の学校教育では、より子どもの主体的な学び、つまり一人一人が興味関心やテーマをもち、それについて学びを深める子どもたちをいかに支えるかが重視されています。教師においても、子どもの様子を敏感に感じ取り、きめ細かく反応していくことが求められます。これまで注目されてこなかったこれらの専門性の価値を認めて、そうした力をもった教師を育てていくことが、一人一人の子どもが輝き、成長していく学校、学習環境をつくることにつながるのです。
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