遠隔操作で未踏の領域へ! 広がるテレオペレーションの世界
ロボットを操れば、危険な作業ができる
テレオペレーションとは「遠隔操作技術」のことで、ロボットなどの作業機械に離れた場所から指令を出して動作させる技術です。その中でも離れたところにあるロボット(スレーブ)を、手元にあるマスタという操作機器を介して操縦する「マスタ・スレーブ方式」と呼ばれるものが最も直観的であるとされています。1940年頃、アメリカの国立研究所で放射性物質を取り扱うために開発されたものが世界初のマスタ・スレーブ方式の遠隔操作システムです。
ネットワーク通信で飛躍的に自由度がアップ
初期にはマスタとスレーブはケーブルで機械的につながっていましたが、これではシステムを設置できる場所が限られてしまいます。その後設置の制約を緩和できるようにマスタとスレーブが電気的な結合になり、それまでの機械的結合と同じようにスレーブ側のロボットの力加減ができるような「バイラテラル制御」が考え出されました。現在ではネットワーク技術が発達したおかげで、コンピュータネットワークを介した通信により画像データを含む大量のデータをやりとりできるようになり、遠く離れた場所からでもロボットを遠隔操作できるようになりました。
極限環境やミクロの世界でも活躍
現在、テレオペレーションは宇宙や原子力設備、災害現場など、人間が立ち入れない極限環境で多く活用されています。災害復旧作業では建設作業機械に人間の代わりとなる制御装置とカメラを搭載し、通信による遠隔操縦でがれき処理などができるようになりました。
また医療現場では手術を行う数本のアームとカメラが搭載された内視鏡手術支援ロボットが実用化されています。医師は離れた場所で操作卓の中の3D画像を見ながら操作することにより、あたかも患部が目の前にあるかのように拡大されたものを立体で確認でき、手ぶれも起こらないので細密な手術が行えます。このようにテレオペレーションはVR(バーチャルリアリティ)技術とも融合し、人間の能力を増幅させる分野でも大きな可能性を秘めているのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸大学 工学部 機械工学科 教授 横小路 泰義 先生
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