気候変動に負けるな! 食料生産の維持・向上に貢献する農業研究

気候変動に負けるな! 食料生産の維持・向上に貢献する農業研究

気候変動の大きな影響

気候変動により、世界と日本の農業にも、農作物の生育悪化や収穫量の減少など様々な影響がでています。日本では、米の品質が悪化したり、大豆の収量が減少しています。日本最大の農業地帯の北海道でも、気候変動は小麦やじゃがいも等の畑作物の生産に大きな影響を与えています。そのような、変化する気候に対応した農業のあり方を考えていく必要があります。農学分野では、そうした気候変動を踏まえた農業への適応の研究が進められています。

冬に土が凍らなくなって出てきた問題

ここでは、北海道十勝地方の例を紹介します。十勝地方では、土の凍る深さ(土壌凍結深)が年々浅くなり、年によっては、凍らなくなりました。温暖化の影響かと思われそうですが、冬の平均気温は上昇傾向では無く、早くに雪で覆われた地表面は、雪の断熱作用のために冷えにくくなり、それで土壌凍結深が浅くなってきたのです。このように、気候変化は気温だけでなく、雨の降り方や積雪や日射など様々な気象要素で生じています。畑の土が凍らなくなったことで、畑に残ったジャガイモが腐ることなく地中に存在し、春になると芽を出してしまう事態が多発しました。輪作に狂いが生じるため、芽を出したジャガイモは手作業で除去する必要があり、農家の大きな負担となりました。これを防ぐために開発されたのが、「土壌凍結深制御」という農業では珍しい冬の農作業手法です。畑の土を一定の深さまで凍らせることで、土壌内に残った農作物をしっかりと腐らせて、雑草化を防ぎます。雪解けの時期に出てきやすい、土壌内の肥料から排出される窒素も閉じ込めることができるため、環境負荷を減らすこともできます。

現場で使ってこその研究成果

「土壌凍結深制御」は、農協で使用するシステム内に土の凍り具合をシミュレーション可能なプログラムを入れることで、農家が自分たちで日々土の状態を確認しながら、最適な作業を行えるようになりました。このように、気候変動に対応し、現場で実践可能な農業手法の開発が求められているのです。

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九州大学 農学部 生物資源環境学科 生物資源生産科学コース 教授 広田 知良 先生

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大学は、自分のやりたい勉強や学問を思う存分に突き詰められる場所です。だからこそ、大学では先生に教わったことをやる受け身の姿勢ではなく、能動的に行動を起こしましょう。大学での4年間は、やりたいことに挑戦して、試行錯誤を繰り返せる最大のチャンスです。この期間に何か夢中になれることが見つかると良いですね。また、研究は非常におもしろいものです。自分の興味関心や得意なことを生かしながら、社会に役立つ研究ができるかもしれません。大学での学びを、ぜひ楽しみにしていてください。

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