自分の中にあるモヤモヤした感覚に耳を傾ける「フォーカシング」
言葉にできない気持ちに注目する
心の中でうまく言い表せない嬉しさや悲しみ、モヤモヤした感覚を覚えたことはありませんか。心理学には、自分の心の中にある「まだ言葉にならない感覚」に注目し、それを自分の外に出して表現する「フォーカシング」という技法があります。表現の手段は詩でも絵でもダンスでも好きな方法で構いません。例えば、「美しい夕日を見た時の感覚」「物語に心を動かされた時に湧き上がる感情」「何か引っ掛かるようなはっきりしない気分」など、まだ言葉になっていない心の動きに注目して自分自身と向き合い、今何をどのように感じているのかを見つめるのです。
自分の心と向き合い大切にする療法
フォーカシングは、現在さまざまな療法と組み合わせて心理支援の現場で取り入れられています。フォーカシングがもたらす効果については、実際にフォーカシングを体験した人へのヒアリングや、感想を数値で評価するアンケートなどで、統計的な分析が行われています。数値化とは、例えば「普段の生活の中で、“今どんな気持ちかな”と自分の気持ちに注意を向けるようにしている」「自分の中にあるいろいろな気持ちや感覚はありのまま受け入れるようにしている」といった質問項目に、1から5の数字で評価してもらう方法です。この数値が高ければフォーカシングする力が強いことを意味します。
自分の気持ちを知り、自分をいたわる
人はモヤモヤとした感情を抱え込みすぎると、頭や腹部が痛くなったり、朝起きられなくなったりと、身体症状が表れることがあります。フォーカシングには、自分の気持ちに向き合うことで、自分自身を大切にいたわるカウンセリングのような効果があります。時には、それだけで身体に出ていた痛みなどの症状が軽くなったり、身近な人と争いにならない伝え方を模索できるようになったりもします。日常のストレスを軽減し自分自身を大切に扱うための手助けになるのです。また、子どもの頃からフォーカシングを取り入れていくと、精神を成熟させる助けにもなります。
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