「おもしろさの要」を押さえれば、誰もが体育に参加したくなる!
体育の授業を工夫する
今やスポーツは、実際に行ったり、観戦したり、行う人を支えたりと、多くの人が何らかの形で関わりながら世界中で親しまれています。スポーツを楽しむことで、人生を豊かにしている人は決して珍しくはないでしょう。
スポーツに触れる機会のひとつが、小中学校の体育の授業です。しかし中には、「運動が苦手だから距離を置きたい」と思っている子どもたちもいます。それゆえ子どもたちの積極的な姿勢を引き出して、スポーツと良好な関係を築くことができるようにと、小中学校の教育現場ではさまざまな実践が行われています。
おもしろさの要を見つける
体育の授業内容を工夫するときは、各種目に固有の「おもしろさの要」を見つけ、それに即して学びを考えることが効果的だとわかってきました。それは誰もがその種目にのめりこみたくなる状況であり、例えばバレーボールなら、「仲間とボールをつなげて相手のコートに返すことができるかどうか」です。この状況に入ると人は自ずと夢中になり、その種目に懸命に取り組もうとします。さらに「うまくなりたい」、「相手に勝ちたい」といった気持ちが生まれます。そしてルールを守ったり、チームで団結したりといった社会性を身につけるなど、教育的にも価値のある学びが得られていきます。
ルールを変えすぎてはいけない?
体育の授業でもおもしろさの要を味わいやすいような環境を整えれば、より多くの子どもたちが自ずとスポーツにのめりこむようになるでしょう。バレーボールでは、当たっても痛くない柔らかくて軽いボールを使う、ネットの高さを低くするなどの方法が考えられます。このような授業に参加しておもしろさの要を感じた子どもたちは、もともとスポーツに苦手意識を持っていても、積極的に体育に取り組み始める傾向が見られました。
ただしむやみにルールを変えると、かえっておもしろさの要を消し去ってしまうおそれがあります。子どもたちの実態との関係の中でどのような観点が必要か、さらなる研究が求められています。
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先生情報 / 大学情報
北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(釧路校) 教授 越川 茂樹 先生
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