和菓子の枠をこえて、食のデザインで未来を開く

意外な「和菓子」のデザイン
団子やたい焼き、ようかん、煎餅などの和菓子は、日本人にとても身近な存在です。最近では、洋菓子に抹茶や桜など和の要素を加えた「和スイーツ」も人気を集めています。こうしたスイーツは目新しいものですが、実は和菓子のイメージを表面的にアレンジしたに過ぎません。枠からもう少しはみ出した和菓子をデザインすることで、新しい発見や驚きが生まれることがあります。例えば、私たちが思い浮べるまんじゅうは丸い形が定番ですが、それをあえて四角い形にしてみる、あんこにフキやゴボウなどの意外な野菜を混ぜてみる、甘さの中にほんの少し苦みを加えてみるなどです。伝統を大切にしながらも、その枠にとらわれずに自由に発想することで、「和菓子なの?」という驚きや感動を生み出し、食の可能性を大きく広げていくのです。
食べやすさの外にある面白さ
タピオカやパンケーキなど食の流行が目まぐるしく変わり、さまざまな食べ物があふれる今日、消費者は自分の好みに合ったものを選ぶ傾向が強まっています。そんな中での食品企画や開発では、どうしても流行やマーケティングに寄ったものが中心になりがちです。もちろんそれも大事なことですが、市場の真ん中にあるものだけが食の可能性ではありません。少し外れたところに、まだ知られていないおいしさや面白さが隠れているかもしれないのです。マーケティングにとらわれずユニークな発想を持つことは、新しい食のデザインを考える上で大変重要です。
食の未来をつくる「実験の場」
「食の展覧会」という試みがあります。これは、実際に食べてもらうことが目的ではなく、食品の「表現の可能性」を追求する、いわば食の実験場です。例えば、F1のレーシングカーから市販車の技術が生まれたり、ファッションショーのドレスが流行に影響を与えたりしています。同様に、食の分野にも最先端の表現の場があることで、そこから日常に役立つアイデアや技術が生まれると期待されています。
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日本栄養大学 ※2026年4月から共学化&名称変更 現校名:女子栄養大学栄養学部 食文化栄養学科 准教授平野 覚堂 先生
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