「生身の人間」が、より良い「選択」を行うための方法を考えよう
意思決定理論とは?
「経済学」というと、需要曲線・供給曲線の印象が強いかもしれません。しかし、現代の経済学は、人々の様々な行動を研究する「行動経済学」などを含む、広範な学問です。「意思決定理論」は、その基礎となる、個人や組織の「選択」を考えるものです。
例えば、人がアイスクリームや確定拠出年金の運用商品など、数十種類の中からどれか選ぶ時に、迷って結局「買わない・選べない」ことがあります。伝統的な経済学は「人間は合理的であり、最良の選択を行う」という前提で物事を考えますが、生身の人間はそうとは限りません。合理的な行動とそうではない行動とのギャップがなぜ・どのように生じるのか、意思決定理論ではその分析を通して、個人や企業、行政のより良い「決め方」を探ります。
数学という「言葉」で人間の行動を正確に捉える
意思決定理論では、「生身の人間」の行動を論理的に捉えますが、そのために数学という「言葉」を使います。「なかなか決められない」行動の研究でいうと、例えば、スマートフォンを買う場合に、値は張るが高性能な製品と、標準性能でも低価格のモノのどちらかを選ぶとしましょう。自分の基準があいまいだと選択ができませんが、じっくり考えるうちにどちらが良いか明確になることもあります。それは、時間が経つにつれて次第に基準が固まっていくからだと考えられますが、そのメカニズムは「選択にかかる時間」を使った数式で表現できます。人の行動や気持ちは、数学という「言葉」で表現できるのです。
個人・社会・経済に結びつく学問
選択をしなければいけないのに「決められない」ことは、心理学などでも良く知られています。意思決定理論では、客観的に正しいかどうか証明できる数式を使ってそのメカニズムを表現します。つまり、この研究は心理学と経済学を結びつけるものだと言えます。
こうした学問が今、国や自治体の政策、ビジネスの最前線で注目されています。あなたがイメージする経済学のその先には、個人・社会・経済に役立つ広い世界が待っているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
岩手県立大学 総合政策学部 総合政策学科 経済・経営コース 教授 小井田 伸雄 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
ミクロ経済学、意思決定理論、行動経済学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?