人との関わり、その中に「政治」は生まれる
目には見えない、政治に隠された力関係
学校で教わる「政治」やニュースで流れる「政治」。あなたは、自分にとって「政治」は関係ないものだと感じていませんか。でも政治は身近なところにあります。例えば運動部で、部長が、ほかの部員に、新しい練習メニューを行わせたとします。この場合、部長は、ほかの部員に対して権力を持っていることになります。
なぜほかの部員は、部長に従ったのでしょうか。「部長」という立場にいる人の指示だったからでしょうか。それとも部長に従わないと、制裁が加えられるからでしょうか。あるいは部長に、人徳やリーダーシップが備わっていたからでしょうか。
政治とは、社会を統合するために必要なもので、そのときに権力が用いられます。どの人や集団が、どのような手段を用いて、ほかの人や集団を動かしていったのか。簡単にいえば、政治学はそれを明らかにする学問です。政治学は、高校で学ぶ公民のように、制度的なものを暗記するようなものではありません。
好き嫌い、温度でわかる選挙のかたち
国民の政治参加の方法の一つに、選挙があります。最近の選挙の結果を分析すると、政党の党首の人気が投票行動に与える影響が大きくなってきていることがわかります。
政治意識調査では、「感情温度計」という指標が使われることがあります。人間や集団に対する感情を測る温度計です。0 度~100 度までの範囲で、好きでも嫌いでもない50 度を基準に度合いを測っていくものです。これによって、政党やその党首、さまざまな集団や制度に対する国民の感情温度の平均や分布を調べることができます。このように政治は、人間の感情から分析することも可能なのです。
でも党首の人気以外に、国民の社会経済的地位、政党支持、そのときの争点に対する態度、その他の政治意識など、さまざまな要因が投票行動に影響しているでしょう。個々の選挙で、またどの選挙にも共通して、影響のある要因は何か。政治学は、そんなことも分析する学問です。
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筑波大学 社会・国際学群 社会学類 教授 竹中 佳彦 先生
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